データ分析とは?データ解析との違いやメリット、手順などを解説

データ分析とは、大量のデータから必要な情報を抽出し、企業にとって意味のある情報を得る手法です。データ分析を行うと、新たなビジネスチャンスを得られる、迅速に意思決定できるなどのメリットがあります。
しかし、データ分析の重要さを感じていても、実際に分析を経験した人は少なくないのではないでしょうか。本記事では、データ分析の意味や重要性、解析に際しての注意点を解説します。企業の事例も紹介するため、お役立てください。
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データ分析とは
インターネットやスマートフォン、SNSの普及などに伴い、企業が扱うデータは増加し、またその内容も多種多様になっています。データ分析とは、収集したデータを分類し、整理、加工することで、目的に合った情報を抽出すること。データ分析は、営業やマーケティング戦略などの合理的な意思決定を助けるうえ、自社の強みや課題の発見にも役立つため、多くの企業で重要視されています。
データ分析とデータ解析の違い
データ分析と似た言葉に「データ解析」があります。「分析」という言葉自体は、物事を分類して細かな要素に分け、その性質や構造を明らかにすることを意味します。一方「解析」は、物事を分析して紐解くこと。つまり、データ分析によって収集したデータを分類し、データ解析によってそのデータ結果の原因を論理的に明らかにするという意味の違いが両者にはあります。しかしながら、データ分析の延長上にデータ解析があるため、その境目もあいまいだったり、英語ではどちらもData Analysisと表現したりするため、場合によっては厳密に使い分ける必要はないともいえるでしょう。
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データ分析の種類
データ分析の種類は、大きく分けて以下のようなものがあります。
1. 記述統計学
記述統計学は、収集したデータを要約し、わかりやすく整理・表現する手法です。平均値、中央値、標準偏差などの統計量を用いてデータの特徴を簡潔に表現します。また、ヒストグラムや散布図などのグラフによる可視化も記述統計学の重要な要素です。マーケティングでは顧客の購買額の平均や分布を把握したり、売上の時系列変化を確認する際に活用されます。データの全体像を把握するための基本的な分析手法として、多くのビジネスシーンで利用されています。
2. 推測統計学
推測統計学は、サンプルデータから母集団全体の特性を推測する手法です。仮説検定や区間推定などの手法を用いて、限られたデータから信頼性の高い結論を導き出します。例えば、一部の顧客アンケート結果から全顧客の傾向を推測したり、ABテストの結果から施策の効果を統計的に検証する場面で活用されます。因果関係の分析や将来予測にも応用でき、科学的根拠に基づいた意思決定を支援する重要な分析アプローチです。
3. 機械学習
機械学習は、アルゴリズムを用いてデータから規則性やパターンを自動的に学習し、予測や分類を行う手法です。教師あり学習(回帰分析、分類など)と教師なし学習(クラスタリング、次元削減など)に大別されます。マーケティングでは顧客の購買予測、セグメンテーション、レコメンデーションなどに活用され、膨大なデータから複雑なパターンを見つけ出せる点が強みです。近年のデジタルマーケティングでは、パーソナライズされた施策の実現に不可欠な分析手法となっています。
4. ビッグデータ分析
ビッグデータ分析は、従来の分析手法では扱いきれない大量・多様・高速なデータを処理し、価値を抽出する手法です。専用のデータベースや分散処理技術を活用し、リアルタイム性の高い分析や非構造化データ(テキスト、画像、動画など)の分析を可能にします。Webサイトのアクセスログ、SNSの投稿データ、IoTセンサーデータなど多様なソースから得られる情報を統合的に分析することで、これまで見えなかった顧客行動の洞察や市場トレンドを捉えることができます。
データ分析が重視されるようになった背景
データ分析が重視されるようになった理由として、以下のようなものが挙げられます。
1. データ量の増加
インターネットやスマートフォン、IoTデバイスの普及により、企業が扱うデータ量は飛躍的に増加しました。顧客の行動履歴、購買記録、SNS上の言及、センサーからの情報など、あらゆる活動がデジタル化され、データとして蓄積されています。このデータの海から有益な情報を抽出し、活用できる企業とそうでない企業の差が拡大しています。企業が持つデータは、適切に分析することで大きな価値を生み出す重要な経営資源として認識されるようになりました。
2. 分析技術の発達
データ分析技術は急速に進化し、以前は専門知識を持つ一部の人材しか扱えなかった高度な分析手法も、現在では様々なツールやソフトウェアの登場により広く利用可能になっています。クラウドコンピューティングの普及でハードウェアへの大規模投資なしに高度な分析が可能となり、AIや機械学習の発展により複雑なパターン認識や予測も容易になりました。これらの技術発達により、多くの企業がデータ分析を戦略的に活用できる環境が整い、データ分析の重要性が高まっています。
3. 競争の激化
グローバル化やデジタル化により、企業間の競争環境は厳しさを増しています。新規参入障壁の低下や消費者の選択肢拡大により、直感や経験だけに頼った経営判断ではビジネスの成功が難しくなっています。こうした状況で、市場動向や顧客ニーズを正確に把握し、データに基づく意思決定を行うことが競争優位性の源泉となっています。先進企業がデータ分析を積極的に活用して成功例を生み出していることも、データ分析が注目されるようになった理由のひとつです。
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データ分析のメリット
企業の発展には、データ分析が欠かせません。ここではデータ分析の3つのメリットを解説します。
1.新たなビジネスチャンスを発見しやすい
データ分析に取り組むと、新たなビジネスチャンスを発見しやすくなります。データを可視化すると、顕在的・潜在的な顧客ニーズに気がつける可能性が高まるためです。経験や勘に頼っていては、ビジネスチャンスを取り逃してしまうかもしれません。
対してデータ分析では、さまざまなデータの因果関係を整理して、人の感覚では気がつきにくいビジネスチャンスを見つけ出します。
新しいビジネスモデルを展開する過程でも、データ分析を活用しましょう。場当たり的な取り組みをしても、コストと時間ばかりかかり、ライバルに先を越されるかもしれません。その点、データ分析に取り組めば、ビジネスモデルの構築に向けた課題を抽出し、効率よく事業に反映できます。
2.経営判断を迅速に行える
迅速な経営判断ができる点も、データ分析の強みです。市場の変化は激しく、判断が遅れると貴重なビジネスチャンスを失うかもしれません。データ分析で組織の現状や課題が分かると、将来を予測しやすくなります。施策と起こりうる結果を紐付けると、スムーズに経営判断を下せるでしょう。
データ分析は企業のデータを一元管理して分析するため、俯瞰的な施策を導き出せます。また、データを根拠とする説明は客観性が高く、社内の承認・賛同もスピーディーに得ることも可能です。クレームやトラブルについても、早急な対応が必要です。企業を守るためにも、データ分析を活用して迅速に経営判断を下しましょう。
3.データドリブン経営を促進する
データドリブン経営とは、データに基づいた経営を行うことを意味します。これまでの経験や勘を頼りにするビジネスではなく、データを経営判断に反映させることで、先入観に縛られない効率的で合理的な決断が可能になります。たとえばあるキャンペーンを実施する場合、リアルタイムデータを解析することで、顧客の動向に応じたネクストステップを計画することができるでしょう。
データ分析は、企業の売上安定や成長に欠かせないデータドリブン経営に不可欠な要素です。
データ分析のデメリット
データ分析には多くのメリットがありますが、デメリットとして注意すべき点については以下の通りです。
1.業務負担やコストの増加
データ分析を行うためには、その作業を担当する人員の確保が必要になります。また、データ分析のもととなるデータの収集をはじめ、データの整理や加工、分析といった作業負担が増える可能性もあるでしょう。
しかし、こうした作業は専門のサービスやツールを使うことで解消する場合も。業務負担の軽減と、データ分析のサービスやツールの利用にかかる費用を鑑みながら、業務の最適化を図りましょう。
2.分析の属人化
データ分析を担当するスタッフは、ある一定以上のスキルやリテラシーが求められます。データ分析は誰でもできる作業とは限らないため、属人化しやすい点がデメリットとして挙げられます。こうした場合に備え、社内の教育システムを整備したり、サービスやツールを利用する際は、ベンダーのサポート体制やフォローアップの有無なども確認したりしておくとよいでしょう。
3.効果が出にくい可能性
データ分析は、今までのデータから今後の方向性を導き出すのに役立ちますが、導き出した分析結果によりすぐに課題が解決するとは限りません。大量のデータを集め、リソースを割いて分析したとしても、思ったような効果が得られないことも。時には、データに過剰に頼りすぎず、過去の経験や勘が一つの判断材料になることもあるということを念頭に置いておきましょう。
データ分析の手法
データ分析の具体的な方法について、代表的な手法を8つ紹介します。
1.アソシエーション分析
さまざまなデータの隠れた相関関係を分析する手法です。アソシエーション分析により導き出した複数のデータの関連性から、仮説を立て、効果的なマーケティングにつなげます。商品やサービスのクロスセルやアップセルに効果的です。
2.バスケット分析
ユーザーがどのような商品をバスケット(カート)に入れているかを分析する手法です。バスケット単位で、どの商品とどの商品が一緒に買われているか、この商品を買う顧客の共通点といった顧客の購入動向を把握します。これにより、おすすめの提案や、キャンペーンの内容、店内配置などのヒントを得られ、マーケティングに有効活用することができます。アソシエーション分析の一種とされます。
3.クロス集計分析
アンケートなどで収集したデータを、顧客属性や回答により分析する手法です。たとえば、縦軸に「男性」「女性」を、横軸に「満足している」「どちらでもない」「不満である」などと設定し、回答を集計します。エクセルやスプレッドシートで簡単に実施できる手軽さや、縦軸・横軸の組み合わせ次第で、さまざまな傾向を把握できるのもメリットです。
4.ABC分析
ABC分析は、主力商品や顧客などをA、B、Cの3段階にランク分けして分析する手法です。たとえば、売上順にA、B、Cとランク分けし、販売状況を可視化することで、どの商品の優先度を上げればよいか可視化できます。それにより、効率的な在庫管理が可能になり、効果的なマーケティング活動や売り上げの増加も見込めるでしょう。
5.決定木分析
決定木分析は、1つの分析結果を元に仮説を繰り返し、複数の結果を導き出す分析方法です。1つの結果から枝分かれし、ツリー状に可視化するため、わかりやすいことがメリットです。満足度の高い顧客の属性や、自社ブランドがどのような層に浸透しているか、購入見込みの高い顧客はどのような属性かといった、複数の選択肢から最良のものを導き出す場合に適した分析手法です。
6.ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、確率の予測に役立つ手法です。1つの設問に対して「YES」か「NO」の2択でデータを収集することが特徴です。たとえば、特定の商品を購入したか購入していないかという2つの結果に関し、ダイレクトメールの開封の有無、過去の閲覧履歴、広告のクリックなどにより購買の発生確率の予測を行います。
7.クラスター分析
収集したデータの中から似た性質をもつものを集め、グループごとの属性を分析する手法です。このグループをクラスター(集団)と表現するため、クラスター分析と呼ばれます。大量のデータでも、いくつかのクラスターに分類することでデータを単純化し、考察しやすいことがメリットです。
8.主成分分析
次元(指標)の異なるデータを要約し、データがもつ情報や特徴をできるだけ可視化する分析手法です。たとえば、身長と体重といった2つの次元からBMIという1次元の指標に要約するように、次元の異なるデータを1~3程度の次元に要約する分析方法です。複雑なデータも、これにより分かりやすいデータに要約されます。
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データ分析における注意点
データ分析では、因果関係を熟考し、定性的なデータに注目する必要があります。データ分析における注意点を解説します。
1.明確な目標を設定する
まずは、データ分析の目的を設定することが大切です。それにより、どのようなデータが必要か、どのような分析手法が適切かなどを判断することができるでしょう。データ分析は、あくまでもその目標を達成するためのプロセスです。自社の課題解決のために、データ分析がどのように寄与するかを考えながら、継続的な取り組みをしていきましょう。
2.因果関係に注目する
データ分析では、相関関係ではなく因果関係に注目しましょう。相関関係とは、2つの物事に何らかの関連性がある状態です。一方、因果関係では、2つの物事が原因と結果の関係にあります。目的・仮説を設定して施策を検証し、効果的な施策につなげましょう。
3.定性的なデータにも目を向ける
定性的なデータと定量的なデータの両方を分析すると、信頼性の高い結果を得られる可能性があります。定性的なデータとは、顧客からのクレームのような数値化できないデータです。定量的なデータのみを分析しても、状況を正確に把握できない場合があります。
データ分析を活用した企業の成功事例
「見える化エンジン」を活用したデータ分析により、成功した企業の事例を紹介します。「見える化エンジン」によるデータ分析の成果を知り、自社の課題解決に役立ててください。
1.ネスレ日本株式会社
ネスレ日本株式会社は、顧客ニーズの活用に課題を抱えていました。同社のコールセンターには多くの顧客の声が寄せられていたものの、データ分析にまで手が回っていませんでした。
データ分析ツールを導入したところ、コールセンターに加え、SNSやレビューなど社外のデータも活用できるようになりました。データ分析で得られた結果は、新製品の開発に活かされています。
2.株式会社SUBARU
かつて株式会社SUBARUでは、表計算ソフトで顧客からの問い合わせを管理していました。しかし、情報を入力するまでに時間がかかりすぎて、集計・分析は手つかずの状況でした。
データ分析ツールを導入したところ、顧客からの問い合わせが自動的に集計・分析されるようになりました。また、社内にデータを共有する際は、ツールから出力されるグラフをそのまま使用可能です。情報の見える化により、多くの部門が顧客の声を重視するようになり、顧客ニーズにマッチする商品開発や品質改善に結びつきました。
3.雪印メグミルク株式会社
雪印メグミルク株式会社のコールセンターには、年間6万件にもおよぶ顧客の声が寄せられていました。しかし、人の手で確認するにはデータが多すぎて、貴重なデータをうまく活用できていませんでした。
データ分析ツールを導入したところ、商品のユニークな食べ方、意外な利用シーンなど多くの気づき・発見を得られました。また、データを活用できる体制が整ったことから、他部門からの分析依頼も受けつけています。
4.ロート製薬株式会社
ロート製薬株式会社では、顧客の声をリアルタイムに把握することに課題を抱えていました。データ分析の対象はSNSでしたが、情報量が多すぎるため顧客の声を抽出できませんでした。
データ分析ツールを導入したところ、リアルタイムな消費者の声を把握でき、ライバルの商品との比較も可能になりました。ツールは情報の見える化に長けており、自社の強みを効率よく把握できます。
5.大正製薬株式会社(旧:大正富山医薬品株式会社)
大正製薬株式会社は、日報・月報の作成に時間をとられ、顧客の声を社内にフィードバックできていませんでした。当時のコールセンターは「クレーム処理の部門」と社員から認識されていました。いわば、データを活用する社内風土が整っていない状況であったといえます。
同社は、データ分析ツールで日報・月報の作成を自動化しました。社内に顧客の声をフィードバックできるようになった結果、顧客の声を意識する習慣が社内に根付いています。
参考:大正製薬株式会社(旧:大正富山医薬品株式会社)様 導入事例
6.江崎グリコ株式会社
江崎グリコ株式会社は、リサーチの精度向上や、広告効果測定のやり方などに課題を抱えていました。
データ分析ツールを導入したところ、アンケートの自由回答欄に書かれた、定性的なテキストデータを分析できるようになります。リサーチの精度が向上した結果、次年度のキャンペーンに顧客の声を活かせるようになりました。また、同社は、CMの露出量とクチコミ数の関係を、CMの効果測定に活かそうと検討中です。
7.第一三共ヘルスケア株式会社
第一三共ヘルスケア株式会社は、顧客の声を活用する「CS推進部」を立ち上げました。しかし、部内には顧客の声を活用する知見がなく、分析から情報発信まで分からないことが山積みでした。
同社は、データ分析ツールを提供する企業のサポートを活用し、CS推進部の立ち上げに邁進します。講習やヘルプデスクなどサポートをフル活用した結果、当初の計画より前倒しで情報発信の本格稼働が実現しました。また、CS推進部の情報発信により、顧客の声を商品開発・改善提案に活かせるようになりました。
8.ライオン株式会社
かつてライオン株式会社のお客さまセンターは、クレーム対応で手一杯でした。しかし、同社はお客さまセンターのあり方を見直し、顧客の声の活用に取り組んでいます。
顧客の声の活用に向け、従来使っていたデータベースに、新しいデータ分析ツールを組み合わせました。新しいシステムは、お客さまセンターだけではなくSNSからも顧客の声を収集できます。また、社内で顧客の声を共有した結果、データを活用しやすい体制が構築されました。
まとめ
データ分析に取り組むと、新たなビジネスチャンスを得られ、経営判断を迅速に行えるようになります。信頼性の高い分析結果を得るには、因果関係に注目するだけではなく、定性的なデータにも目を向けましょう。
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