データ集計とデータ分析の違いとは?原則や主な手法をまとめて紹介


データ集計とデータ分析の違いとは?原則や主な手法をまとめて紹介

企業がデータを取り扱う場合、「集計」と「分析」を行うケースが多いのではないでしょうか。集計と分析はデータを取り扱う作業であるという点は同じですが、全く異なる作業です。この記事では、集計と分析の違いについて詳しく解説します。合わせて、データ分析の主な手法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

データにおける「集計」と「分析」の違い

データを扱う作業として、「集計」と「分析」があります。ここでは、データ集計とデータ分析の違いについて解説します。


データ集計とは

データ集計とは、その名のとおりデータを収集・合計することです。企業のおけるデータ集計とは、企業の基幹システムなどからデータを集めて、基本統計量や分布を把握することを指します。


例えば、商品の売上を例に見てみましょう。A・B・Cという商品があるとして、毎日の売上に関するデータがあるとします。それぞれの商品の年間の売上を取集することが、データ集計です。データ集計は、現状を正確に把握するために行われます。


データ集計では、商品別の売上や商品を購入した顧客の性別や年齢層、月別の購買数など、さまざまなデータを知ることが可能です。このようなデータを収集することで、客観的に現状を把握できます。ただし、データを収集するだけのため、成果を出すための行動にはつながりにくいでしょう。


データ分析とは

データ分析とは、基幹システムなどから必要な情報を収集し、分類・整理して目的に合う情報を抽出することを指します。データ集計が、データを集めて現状を把握するという目的があるのに対して、データ分析は集めたデータを要素分けなどして構成を明らかにし、データの特徴を把握するという目的があります。


例えば、上記のように商品A・B・Cの売上を例に見てみましょう。データ集計ではそれぞれの売上を比較することは可能ですが、商品A~Bの売上の平均値などはわかりません。集めたデータを加工し、データの特徴を抽出することがデータ分析です。データ分析は、営業戦略やマーケティング戦略など意思決定の際に役立ちます。


データ分析には3つの原則がある

データ分析には「比較」「時系列」「要因分解」という3つの原則があります。以下では、それぞれの原則について解説します。


原則1:比較

データ分析の原則1つめは、集計したデータを比較することです。例えば、部門対比や地域対比などの方法があり、企業ではよく使用されています。数値を比較することにより、数値の評価が行えるようになります。


例えば、価格帯別の商品を例に取って見てみましょう。もっとも高い商品Aと中間帯の価格の商品B、もっとも低価格の商品Cがあったとして、それぞれの売上だけ見てもその数値の良し悪しがわかりません。それぞれの価格帯の商品の売上を比較することによって、各商品の売上が良いのか悪いのかが判断できるようになります。


比較する際の軸は複数あり、軸を変えることによって数値の意味するものが変わるため、これまで見えていなかった意味を把握できたり数値の評価が行えたりします。


原則2:時系列

時系列とは、その名のとおり時間を軸にして数値を比較することです。時間という項目に注目して取集したデータの推移を比較し、数値にどのような傾向があるのかを把握して、未来予測などに活用します。


チャートやグラフで視覚化することにより、データを扱いやすくなります。例えば、ある商品の売上を時系列で分析するとしましょう。毎月の売上額を数値のみで順番に見比べるよりも、グラフにして視覚化した方が見やすく、また比較しやすくなります。


時系列で比較することにより、顧客は増えているが売上単価が減少傾向にあるというような、新しい傾向が見えてくる可能性もあるでしょう。時系列による分析は、データから多くの傾向を読み取りやすくなっています。


原則3:要因分解

要因理解とは、集計されたデータから傾向や課題を見つけて、原因特定につなげるものです。比較と時系列では、それぞれの数値の良し悪しやどのような傾向があるのかを把握するという目的ですが、要因分析ではなぜそのような数値や傾向になるのかといった要因を探し出すという目的があります。


要因分解には、詳細なデータが必要となります。詳細なデータがない、大まかなデータしかないという場合には、要因分解が難しくなります。例えば、売上データを見る場合、1年ごとのデータよりも月ごとのデータが、月ごとのデータよりも日ごとのデータのほうが詳細なデータとなるため、原因の特定につなげやすいでしょう。


データ分析を行うメリットとは

データ分析を行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、データ分析のメリットを詳しく解説します。


現状を把握できる

データ分析を行うことで、自社の立ち位置や置かれている状況、ビジネスの現状などの把握に役立ちます。データ分析を行わない場合、客観的に自社の状況を捉えることが難しくなります。そのため、勘や思い付きといった正確性の低いものに頼って経営判断をすることになり、失敗するリスクも高くなるでしょう。


データ分析によって客観的に現状把握をすることで、自社の強みや弱み、今後力を入れるべき施策、コストをかけるべき部分などの把握につながります。そのため、自社の経営戦略が合っているのかどうかを確認しやすくなったり、計画の早期修正などの対応が可能となったりするため、スピードが重視される現代のビジネスにも対応しやすくなるでしょう。


将来の予測に役立つ

データ分析を行うことで、将来の予測がしやすくなります。未来は不確実性が高く、実際に何が起こるかはわかりません。しかし、さまざまなデータを活用して細かく分析することにより、高度な予測が可能となります。各データを詳細に分析することで、利益向上やシェア率の拡大などの予想ができます。


企業として成長を続け、利益を伸ばしていくためには、将来的な予測は必要不可欠です。また、データ分析によって、企業としての成長や売上が伸び悩む可能性があるといったことも把握しやすくなります。そのため、成長するためには何が必要か、売上を伸ばすための施策などの見極めにも役立ち、安定的な成長や売上の確保などがしやすくなるでしょう。


データ分析の主な手法を紹介

データ分析と一口にいってもさまざまな手法があります。ここでは、データ分析の主な手法を3つ解説します。


回帰分析

回帰分析とは、2つの要素の相関関係がわかる分析手法です。さまざまな分野で使われている分析手法であり、メジャーな分析といえるでしょう。手元のデータを用いて、予測値を求めることも可能です。


例えば、チェーン店の各店舗の売上を比較する場合、売上に対して影響がある来店者数や最寄駅からの距離、広告宣伝費などの項目を抽出し、回帰分析を行います。これにより、どの項目が売上に強い影響を与えているのかがわかるといった仕組みです。


回帰分析のメリットは、短期的なデータからでも分析ができる点です。そのため、課題や問題を早期に解決しやすくなっています。


クラスター分析

クラスター分析とは、3つ以上の多変量データが含まれるデータセットから、予測や分類を行う多変量解析の手法です。マーケティング分野でもよく活用されています。例えば、顧客を属性ごとに分類しようとした場合、データからは明確な違いが見られないというケースもあるでしょう。クラスター分析では、共通のパターンを発見して分類することをサポートできます。


クラスター分析は、顧客の意識やイメージ、価値観などの形がないものでも分析できるというメリットがあります。ただし、分析する人の主観が入りやすいという点はデメリットといえるでしょう。


クロス集計

クロス集計とは、収集したデータを属性ごとに分類する手法です。データ分析の基本として知られており、さまざまな分野で活用されています。また、表計算ソフトなどにも標準機能として搭載されているケースも少なくありません。


クロス集計によって、データの特性や傾向を把握できます。多くの分野で活用されていますが、アンケートや販売予測、仕入計画などに使用されるケースが多いです。クロス集計は、分析経験があまりない人でもデータを扱いやすいというメリットがあります。ただし、集計結果が莫大な量になるケースが多く、分析に時間や労力がかかるケースも少なくありません。


データ分析における注意点を確認

データ分析を行う場合には、目的を明確化しましょう。目的が明確になっていなければ、どのようなデータを収集すればよいのかが曖昧になり、結果として有益な結果が得られなくなるケースもあります。そのため、データ分析の目的をはっきりと決めて、それに合ったデータを用意することが重要です。


また、データ分析には客観性も重要です。分析者の主観が入らないように注意して、客観的な立場に立ってデータ分析を行いましょう。


まとめ

データ集計とデータ分析は、データを扱うという点では同じです。しかし、データ集計がデータを集めるだけなのに対して、データ分析はデータを分類・整理して有益な情報を抽出するという違いがあります。データ分析によって、自社の現状を把握でき、将来の予測などもしやすくなります。データ分析を効率的に行いたい場合は、ツールを活用するのもよい方法です。


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