NPS®︎の分析方法とは│手法や計算方法、活用のポイントを解説


NPS®︎の分析方法とは│手法や計算方法、活用のポイントを解説

NPS®︎は適切な分析をしてこそ効果を発揮するものです。しかし、実際には、NPS®︎を実施しただけで終わってしまい、データを活用できていない企業も多くみられます。この記事では、NPS®︎の分析方法を紹介するとともに、NPS®︎から読み取れる内容や注意点について解説します。そもそもNPS®︎とは何か、計測方法についても触れるため、ぜひ参考にしてください。

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NPS®︎とは

NPS®︎とは、Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)の略で、顧客ロイヤルティを測る指標のことです。顧客ロイヤルティは「顧客推奨度」とも訳されます。NPS®︎では、商品やサービスを利用している顧客が、それを友人や家族におすすめしたいか、自分がリピートしたいか等が問われます。


NPS®︎分析を用いれば、顧客が「企業やブランドに対してどれくらい愛着や信頼を持っているか」を数値化することが可能です。


関連記事:NPS®︎(ネットプロモータースコア)とは?顧客満足度との違いや計算方法を解説

1.NPS®︎と顧客満足度の違い

NPS®︎は「顧客満足度」と似ているように思われるかもしれませんが、実際には大きな違いがあります。顧客満足度は、業績との相関性が薄いものです。顧客満足度が高くても、業績向上につながるとは限りません。これに対して、NPS®︎は業績との相関性があります。実際にNPS®︎が高い顧客ほど、リピート購入しやすい傾向にあることがわかっています。


また、顧客満足度に関するアンケートは自社で設定するため、新たな課題の発掘には向きません。NPS®︎は評価者から新たな改善点を指定してもらえることがあり、価値の高い数字といえます。


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NPS®︎の計測方法

NPS®︎を活用したいと考えているものの、実際に自社でも導入が可能なのか検討中の担当者もいるでしょう。NPS®︎を測定するには、まずデータを集める必要があります。ここでは、NPS®︎の測定方法について解説します。


1.データを集める

NPS®︎を測るには最初に顧客に対して、「あなたはこの企業(製品・サービス・ブランド)を友人や同僚に勧める可能性が、どれくらいありますか?」という簡単な質問をします。回答は0〜10の11段階で評価してもらいましょう。


実施のタイミングは、新商品のリリース、あるいはサービス内容の変更など、何らかの変化があった後が最適です。


2.分類する

次に、アンケートの回答内容に応じて、顧客を「推奨者」「中立者」「批判者」に分けていきます。11段階の回答のうち、10と9は「推奨者」、8と7が「中立者」、6以下は「批判者」という位置づけとなります。回答者数のうち、それぞれが何人ずつになったかをカウントしましょう。


3.割合を算出する

最後に、NPS®︎の値を算出しましょう。NPS®︎の値は回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引くことによって算出できます。回答者全体の人数から、推奨者と批判者がそれぞれ何%になるかを割り出せば、推奨者と批判者の差がどれくらい開いているかを数値で判断できます。


NPS®︎分析が重要視される理由

NPS®︎分析が注目される背景には、以下のようなものがあります。

1.顧客ロイヤルティを把握しやすい

NPS®︎は顧客のロイヤルティ、つまり企業や商品・サービスへの愛着度を数値化する指標として優れています。単純な満足度調査と異なり、「他者への推奨意向」を尋ねることで、顧客が実際にどれだけ自社のファンになっているかを測定できます。推奨者(9-10点)の割合が多いほど、本当の意味で顧客に支持されているといえるでしょう。

また、ロイヤルティの高い顧客は、リピート購入や口コミによる新規顧客獲得に貢献するため、企業の持続的な成長につながります。

2.シンプルで理解しやすい

NPS®︎の特徴は、その分かりやすさにあります。「0〜10点」という単一の質問と「推奨者・中立者・批判者」という明確な分類、そして最終的に「-100〜+100」のスコアに集約される点は、社内のどの部門の人にも理解しやすい利点があります。他の顧客満足度指標のように複雑な計算式や多様な指標を理解する必要がなく、経営層から現場まで共通言語として活用できます。

また、業界平均や競合他社との比較も容易で、自社の立ち位置を客観的に把握できる点も、NPS®︎が採用される理由のひとつです。

3.改善ポイントを特定しやすい

NPS®︎調査では通常、点数評価と併せて「その理由」を尋ねる自由回答欄を設けます。この定性データから、顧客が何に満足し、何に不満を持っているのかを具体的に把握できます。「批判者」からのフィードバックも、改善すべき課題を特定する貴重な情報源となるでしょう。

また、点数とコメントの関係性を分析することで、どの要素がスコアに大きく影響しているかを把握でき、優先的に取り組むべき課題が明確になります。

NPS®︎の分析方法

NPS®︎の値を算出しただけでは業績向上につながりません。分析をしたうえで、マーケティングに役立てることが重要です。NPS®︎は複数の観点から分析できます。ここでは、NPS®︎の分析方法を解説します。


1.定性分析

定性分析とは、数値に表しにくいものに対して分析をする方法です。NPS®︎の場合は、アンケートに「そのような評価をした理由をお答えください」というコメント欄を設けておくことで、定性分析が可能になります。


コメント欄には、さまざまな声が集まるでしょう。これらのコメントをカテゴライズし、さらに、商品やサービスを他者に勧めるかどうかに対する回答を参照し、「推奨者」と「批判者」とでコメントを分類します。「中立者」に関しては分類の必要はありません。


寄せられたコメントを、「ネガティブ」と「ポジティブ」で分類してみましょう。推奨者、批判者それぞれがどのようなスタンスを持っているか分析することで、企業の課題が見えてきます。


2.定量分析

定量分析とは、数値データを用いて客観的に分析・評価する手法です。NPS®︎の定量分析では、推奨度スコアと他の満足度指標との相関関係を調べるドライバー分析が効果的です。推奨度と各サービス要素の満足度をチャートに落とし込むことで、改善すべき優先項目が明確になります。

また、自由記述欄のコメントに対してテキストマイニングを活用すれば、大量の声から重要キーワードや感情表現を抽出でき、数値では見えない傾向や潜在ニーズを把握できます。さらに、特徴的な回答をした顧客に対するインタビューを組み合わせることで、数値の背景にある詳細な理由や文脈を理解できるようになります。

これらの手法を組み合わせることで、より立体的なNPS®︎分析が可能になります。

各要素を連動させて散布図を作成する

アンケートで答えてもらった各要素の満足度と、商品やサービスの推奨度との相関値を算出し、散布図を作成します。縦軸を推奨度、横軸を満足度とし、散布図内は「重点維持項目(右上の象限)」「優先改善項目(左上の象限)」「基本維持項目(下半分)」に分類します。


下半分の「基本維持項目」は、さらに左半分を「注意観察項目」として分類すれば、企業の運営にあたって注意するべき点が見えてくるでしょう。ここで「注意観察項目」に分類されたことは、改善すれば顧客ロイヤルティを大きく改善できるポイントです。

NPS®︎の各項目の読み取り方

NPS®︎における各項目からは、さまざまなことが読み取れます。読み取った内容から自社の強みや改善点を見つけましょう。ここでは、NPS®︎分析から読み取れる内容について解説します。


1.重点維持項目:自社の強みを表す

チャートを製作したとき、右上に該当する「重点維持項目」は、自社の強みを表しています。自社の強みは、顧客満足度と顧客推奨度に大きく影響するものです。


今現在、顧客からの支持を得ており、さらにそれがリピート購入や、口コミ、友人や家族に勧める動機にもなっていることを示します。つまり、他社と比較した場合に、自社が選ばれている理由、自社の強みがわかる項目といえます。


今後も、この項目については重点的な維持が必要です。


2.優先改善項目:自社の弱みを表す

チャートを製作したとき、左上にあたるのが「優先改善項目」です。ここは、推奨度との相関値は高いものの、顧客に与えている実際の満足度は低い部分、すなわち自社の弱みに該当します。


チャートのなかで、位置が左上に寄っているほど、緊急性が高い項目であるともいえます。少しの改善で、顧客の満足度が上がるポイントでもあるため、優先的に対策が必要です。改善ができれば顧客ロイヤルティの改善につながり、業績向上が期待できるでしょう。


3.基本維持項目:やや優先度の低い内容を表す

「基本維持項目」は、チャートの右下部分に該当します。顧客満足度は高いけれども、顧客推奨度は高くない項目です。この項目は、場合によっては優先度を下げてもよいでしょう。


ただし、顧客が「満足できて当たり前」と認識している可能性もあります。優先度を下げた結果、満足度が落ちてしまうおそれもあるため、質を落とさないように維持することが必要です。


NPS®︎を分析する際のポイント

NPS®︎を分析する際は、次のようなポイントに注意するとよいでしょう。

1.多数のサンプルを確保する

NPS®︎分析の信頼性を高めるには、十分なサンプル数の確保が重要です。統計的には400サンプル以上が望ましいとされており、この規模であれば誤差は±5%程度に抑えられます。さらに2,000サンプル以上集められれば、誤差は±2%まで小さくなります。

特に顧客セグメント別の分析を行う場合は、各セグメントで十分なサンプル数が必要になるため、全体のサンプル数はより多く必要になります。顧客数が限られている場合でも、可能な限り高い回収率を目指し、統計的な信頼性を確保するよう努めましょう。

2.定期的に調査を実施する

NPS®︎は一度きりではなく、定期的に測定することでその価値が高まります。四半期や半期ごとなど一定間隔で継続的に調査することで、スコアの推移から施策の効果検証や市場環境の変化による影響を把握できます。また、季節要因や特定イベントの影響を排除するためにも、測定時期や頻度を固定することが望ましいでしょう。

定点観測により、自社の取り組みがどのように顧客の推奨意向に影響しているかを時系列で分析でき、中長期的な顧客ロイヤルティ向上の取り組みを評価することができます。

3.定性分析と定量分析を掛け合わせる

NPS®︎のスコアだけでは、「なぜその評価になったのか」という根本的な理由は見えてきません。数値による定量分析と自由回答による定性分析を組み合わせることで、より深い洞察が得られます。また、NPS®︎調査とは別に実施している顧客満足度調査やユーザーインタビュー、行動データ分析などの結果と掛け合わせることも効果的です。


複数の調査手法を組み合わせることで、異なる角度から顧客の声や行動を分析でき、より具体的で実効性のある改善施策の立案につながります。


NPS®︎を効果的に分析するにはツールも有効

NPS®︎の効果を高めるには、定期的に計測と分析を行うことが大切です。さらに、分析結果をもとに問題を改善していく必要があります。


しかし、個別でアンケートを行い、結果を計測するのは非常にボリュームの大きな作業です。負担を軽減するためには、NPS®︎を計測するための専用ツールを使うのもよいでしょう。


ツールを活用することで作業を効率化できることがメリットです。さらに、集計結果が視覚的に分かりやすく表示されるツールが多いため、自力でNPS®︎アンケートを実施するよりも詳しい分析が可能となります。


まとめ

NPS®︎分析は、顧客満足度よりもさらに顧客からの企業の評価を明らかにできる分析方法です。分析結果を経営に活かすことで、顧客満足度を高めて業績のアップも期待できるでしょう。


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