テキスト分析なぜ必要?テキスト分析の基本から方法などを詳細解説

SNSなどを利用して多くのユーザーが発信するさまざまなテキストを、情報として分析する企業が増えています。分析したテキスト情報はマーケティングなどに活かされるため、テキスト分析の導入を検討している企業の担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、テキスト分析について目的やメリットなどを解説します。自社でテキスト分析を導入する際にぜひ役立ててください。
テキスト分析について
テキスト分析とは、どのような分析なのでしょうか。テキスト分析とテキストマイニング、テキスト解析やAIとの違いは何かもあわせて解説します。
テキスト分析とは
テキスト分析は、コンピューターシステムを使用して読み込んだテキストを理解し、ユーザーのもつ心理や、表層にはあらわれない無意識の心理などを知るためのプロセスです。テキスト分析により自社製品やサービスについて、使う理由や使わない理由、あるいはさまざまな評価を知ることができます。
テキスト分析とテキストマイニングは同じ
テキストマイニングは、非構造化テキストを分析することによって定性的なユーザー心理を得るプロセスです。定性的とは、数字にできないという意味です。購買結果(金額)などの定量データ、つまり数字のデータからは、顧客の行動の「結果」が見えますが、なぜそれを購入したかなどの「理由」については、アンケートなどの定性分析を実施する必要があります。
テキスト分析とテキストマイニングの間に明確な違いはありません。どちらもE メール・アンケート調査・SNSなどのテキスト情報から、ユーザーの心理を得るプロセスです。
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テキスト分析とテキスト解析の違い
テキスト分析とテキスト解析という言葉の意味は、少し異なります。テキスト分析は先に述べた通り、非構造化テキストを分析して、定性的なユーザーの心理を得るプロセスです。テキスト解析は、自然言語処理(後述)などの技術を用いてテキストデータを詳細に分析することで得られる、定量的なデータを指します。つまり、テキスト解析は、テキスト分析の結果を詳しく調査して、テキストデータの傾向やパターンを特定するなど、テキストデータの理解をより深める手段ととらえられるでしょう。
テキスト分析とAIの違い
テキスト分析とAIの違いは、自動的な処理が可能かどうかという点です。AIは、自ら学習し、人間と同じようにデータを処理できるシステムのことを指します。一方、テキスト分析は学習したりタスクを自動で遂行したりすることはありません。テキスト分析は通常、テキスト分析用のツールを使い、必要なタスクを人が設定することで処理が行われます。
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テキスト分析の主な目的
テキスト分析はさまざまな目的で使われます。具体的にどのような目的があるかを見てみましょう。
ユーザーのニーズを分析して把握する
テキスト分析では、SNSの書き込みやアンケート結果などユーザーの本音や要望、意見等が反映されているテキストデータから、自社に有益な情報を抽出します。抽出したデータや情報からユーザーニーズの分析が可能です。
テキスト分析を使えば、インターネットで散乱しているテキストデータからユーザーニーズを把握できます。ニーズの把握ができれば、既存の商品やサービスの改善、あるいは新商品・新サービスの開発につなげられるでしょう。
将来を予測する
テキスト分析を活用すれば、SNSなどの投稿から市場動向の将来予測も可能になります。とりわけSNSなどはさまざまな属性のユーザーが利用しており、日々膨大な量のテキストが投稿されています。これらのテキストから、トレンドになりそうな商品やサービスを抽出できるのが、テキスト分析の強みです。
好意的な書き込みの多いものや、インフルエンサーが言及しているものは、需要が高まる可能性があるでしょう。分析結果は商品やサービスの開発に役立てたり、仕入れ量をコントロールしたりするのに役立てます。
業務改善に役立てる
テキスト分析で抽出したデータを社員に共有し、業務改善に役立てることも可能です。これは業務における課題点を可視化していくアプローチとなります。
例えば、業績の優れた社員を複数選び、作業日報を分析してノウハウをマニュアル化すれば、全体の業務効率向上を図れます。あるいはコールセンターなどでもテキスト分析は積極的に使われていて、最適な顧客への話し方などさまざまな課題改善に役立てられています。
テキスト分析の対象データ
テキスト分析の対象データは、インターネット上に投稿される大量のテキストデータ全てです。インターネット以外にも、アンケートの回答やコールセンターでのやりとりなどが対象になります。
具体的には以下のようなテキストが挙げられます。
・インターネットの掲示板での書き込み
・口コミサイトやSNSなど
・Webサイトへの問い合わせ
・企業内に蓄積されたデータ
・アンケートの回答
・コールセンターでのユーザーとのやりとり
・会議の議事録
・営業日報
など
分析対象となるテキストデータは大量になりますが、データの量が多いからこそ正確な分析結果が出せるともいえます。人の手で大量のデータを分析するには限りがあるため、多くのデータを処理できるシステムを備えておくことも肝心です。
テキスト分析の種類
テキスト分析には、以下のような種類があります。ここでは、それぞれの分析方法について解説します。
探索的データ解析(EDA)
探索的データ解析は、まだ意味が明確でない情報や質問に対する答えを探し出すプロセスです。データとして集めた大量の文章を単語レベルに分け、出現の頻度や時系列ごとの変化などさまざまなベクトルから分析します。
この作業は、質問の答えが全くわからない分析初期の段階で、データを理解し可視化する作業です。まだ見えてきていない、未知の部分にある潜在的な関係を洗い出すことに役立ちます。
文書分類(教師ありと教師なし)
文書分類は、テキストデータを内容によって分類するデータ分析の手法です。大量のテキストデータを何らかの種類別に分類したいときに使います。この方法には「教師あり」と「教師なし」の2種類があります。それぞれについて解説します。
文書分類:教師あり
「教師あり」の文書分類では、分類機を用いてあらかじめ分類の条件を「教師」として機械に学習させます。分類器には、どのようなテキストがどのクラスに分類されるかを学習させておき、このルールに従ってテキストデータを分析、分類させます。分類を開始する前の学習深度が正確性を左右するため、入念な学習が重要です。
文書分類:教師なし
「教師」なしタイプの文書分類では、文書をテキストデータの類似度などによって分類します。外部の情報は参照しません。このタイプの分類作業は「クラスタリング」とも呼ばれています。実際に分類するテキストを、類似する何らかの特徴ごとに分類する作業となるため、事前学習は不要です。
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テキスト分析の流れ
テキスト分析は、以下の順序で行われます。
1.データ収集
アンケートや問い合わせのような内部データや、SNSやサードパーティーデータといった外部データなど、さまざまなテキストデータを収集します。また、コールログや接客対応などの音声認識データもテキスト化し、収集の対象となります。
2.前処理(自然言語処理)
コンピューターが解析できるように、文章を単語で分けたり、構文解析を実施したりといったテキストデータの前処理(自然言語処理)を行います。自然言語処理については、次項で詳しく説明します。
3.分析・解析
自然言語処理を行ったデータについて、目的に合った分析・解析を行います。
4.可視化
分析・解析した結果を直感的に理解できるように、グラフで図示したり、ランキングのように見やすい形で可視化します。
自然言語処理とは
自然言語処理(NLP/ Natural Language Processing)とは、人間が日常的に使う自然言語をコンピューターに処理・分析させる技術です。テキスト分析に用いられる手法で、文章を単語に分け、出現の頻度や相関関係を分析することで有益な情報を抽出します。
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自然言語処理で活用される解析方法
自然言語処理の4つの解析方法について解説します。
形態素解析
形態素解析とは、文章を単語に分ける作業のことで、「単語分かち書き」とも呼ばれます。形態素解析をすれば、コンピューターが自然言語をデータとして扱えるようになります。形態素解析は、言語処理の基本となる技術のため、テキストマイニングのほかにも機械翻訳などで活用されています。
構文解析
構文解析(係り受け解析)とは、文章の中での単語同士の関係性を解析する作業です。単語同士の係り受け関係や主語・述語関係などを分析して、文の構造を明らかにします。形態素解析をすることで、トピックの動向を捉えることができますが、構文解析を行うとそのトピックについての意見を可視化することができます。
意味解析
意味解析とは、構文解析をした文の意味を正しく解釈する作業です。コンピューターが単語同士の関連性の高さを判断することで、文を正しく解釈することができます。
文脈解析
文脈解析とは、文同士の関係を解析する作業です。コンピューターが前後の文の関係性や文章の内容を正しく解釈する必要があるため、解析の難易度は高めです。
テキスト分析の主な手法
テキスト分析の主な手法には、主成分分析、センチメント分析、対応分析、共起分析の4種類があります。
主成分分析
主成分分析とは、テキストデータの主成分を抽出する手法です。主成分とはいわば「要約」のことで、膨大なテキストデータは分析にあわせて主成分だけ抽出されます。少数の項目に置き換えられたデータは、人間が内容を理解しやすいように、分析データとしてまとめられます。
主成分分析では、アンケート結果、市場調査などさまざまな分析が可能です。例えば、季節によって顧客が要望している商品の種類を分析し、企業が売り場配置を変える、といったような使い方があります。
センチメント分析
センチメント分析は、感情をパターン分類した分析手法です。ユーザーや消費者の感情を分析する際に用います。
センチメント分析の価値は、テーマに対する人の感情をデータに書き換えて「顧客の感じるさまざまな感情を見える化すること」にあります。嬉しい、幸せ、楽しいのような表現は「ポジティブ」、嫌い、つまらない、遅い、のような表現は「ネガティブ」のように判断させることも可能です。
対応分析
対応分析は、データを図解する分析手法です。データを表にした状態であれば、行と列、数字の羅列になってしまいますが、図解すればデータを利用する側では可視化したデータが使え、視覚的にデータの内容を把握できるようになります。
例えば、アンケートやリサーチデータのクロス集計・編集する前の調査結果データを、散布図を用いて提示するといった方法があります。競合他社と異なる点を見える化したいときなどに利用可能です。
共起分析
共起分析は、文章内で関連する単語同士をデータから洗い出し、そのつながりを示す分析手法です。たくさんのテキストデータのなかから頻繁に出現する特定の言葉を見つけ、さらに高い頻度で一緒に使われている言葉を探します。
出現しやすい単語を分析して線でつなぎ、図にしたものを共起ネットワークといいます。共起ネットワークでは単語と単語の関連を可視化しますが、この方法は文章全体の主旨や傾向の理解にも有効です。
テキスト分析にはテキストマイニングツールが必須
テキストマイニングツールとは大量のテキストデータから必要なデータを抽出分析し、目的に応じた情報を得られる分析ソフトのことをいいます。
大量のテキストデータから、必要なデータを人間の目で抽出することは現実的ではありません。また、仮に抽出できたとしても人の感覚に頼るものである以上、適正な分類、分析になるとはいい難いのが難点です。テキストデータから必要な情報だけをその都度抽出することも難しいでしょう。
テキストマイニングはテキストを採掘することを意味し、人間を介せずにツールが必要なデータを抽出します。テキスト分析を正確に行うためには不可欠なツールです。
テキストマイニングツールのなかには無料のものもありますが、実装されている機能が限定的で精度も低いものが多く、企業が戦略的に利用するには不足しています。有料版は、テキストマイニングとしての機能を、制限なくフルに活用できるものが多いでしょう。
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まとめ
テキスト分析は、テキストマイニングツールを使ってテキスト解析を行い、SNS投稿やアンケート結果などの文章を分析する手法です。テキスト分析を行うには、精度の高いテキストマイニングツールを導入することがおすすめです。
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