アンケート分析の方法とは?基礎や主な手法、手順を紹介

アンケート分析はマーケティングや商品開発に役立つため、企業の担当者にとってぜひ取り入れたい顧客分析の手法です。すでに自社でアンケート分析の導入を検討している方もいるでしょう。
この記事では、アンケート分析について、その定義・概要、手法やポイントなどを解説します。アンケート分析を自社で導入する際の参考にしてください。
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アンケート分析とは
アンケート分析とは、顧客に行ったアンケートの結果を分析し、自社の企業運営に活かすための手法です。アンケートを実施すると、商品やサービスに対してユーザーの感想や意見を効率よく収集できます。マーケティングや商品開発に活用すれば、業績の向上が期待できるでしょう。
ただし、集めたアンケートは、データとして適切に分析できなければマーケティング施策、商品開発や改善といったアクションに活かせません。つまり、目的に適したアンケートの集計方法を用いたうえで集計結果を適切な方法で分析することが、アンケート分析であるといえます。
アンケート分析の手順
アンケートを実施したら、適切な方法で調査結果を集計し、分析します。ここでは、アンケート分析の手順を解説します。
1.調査結果を集計する
アンケートを取ったら、調査結果を集計します。調査結果の段階では、回答者ごとにデータが並んでいるだけの状態です。したがって、集計をしてデータを見やすくする必要があります。
アンケートの集計方法については後述します。
2.抽出データを分析する
アンケート調査結果の集計後は、抽出データを分析します。分析方法は複数あるため、目的にあわせて選ぶことが重要です。
詳細な分析手法については後述します。
アンケートの集計方法
ここでは、アンケートの集計方法を確認してみましょう。アンケートの集計には以下のような方法があります。
1.単純集計
単純集計は、アンケートの質問ごとに回答数や割合・平均値を集計する方法です。詳細な分析ではありませんが、その分アンケート結果の概要を知ることに適しています。
2.クロス集計
クロス集計は、アンケート結果に対して、2つ以上の質問に対する回答を掛け合わせた結果から分析する方法です。例えば「○○は好きですか?」という質問の答え「はい・いいえ」と、「男性・女性」という属性の選択肢を掛け合わせるのが、クロス集計です。
グループ分けによる集計をすると、詳細なデータを得ることができます。また、年齢や性別、居住地など、属性別の傾向がよく分かります。
3.自由記述集計
自由記述集計は、アンケートのなかで回答者に自由に記述してもらった部分を集計、分析する方法です。自由記述の回答は、数値や文章で回答が寄せられます。数値の回答は値の集計をすれば、平均値・中央値・標準偏差・最小値・最大値を求められるため、比較的簡単です。
一方、文章での回答は自由記述の一覧を作り、キーワードで絞り込む、類似した回答や同じ意味の回答をまとめる、といった方法で集計します。集計する際、テキストマイニングツールを利用すれば短時間で詳細な分析が可能です。テキストマイニングツールについては後述します。
アンケート分析の手法
集計したアンケートを分析する手法には、以下のようなものがあります。ここでは、アンケート分析の手法について詳しく解説します。
1.クラスター分析
「クラスター」とは、同類や似たものの集まりを指す言葉です。クラスター分析とは、回答者の属性や回答結果から同類もしくは類似したものを集めて分析する方法を指します。クラスター分析は、「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」に大別されるのが特徴です。それぞれの違いを把握しておきましょう。
階層クラスター分析
階層クラスター分析は、樹形図を利用した階層的なクラスター分析です。データの類似度に着目し、似たものを少しずつ集めてはまとめ、さらに大分することで樹形図を作ります。この方法は、グルーピングの過程が一見してわかることがメリットです。
非階層クラスター分析
非階層クラスター分析では、まず集計を始める前にクラスターの数を決めておきます。その後でアンケート回答のなかから似たもの同士を集め、あらかじめ決めたクラスターのいずれかに分類する方法です。データ数や分類数が多い場合でも効率的に分析できることが、非階層クラスター分析のメリットになります。
2.主成分分析
主成分分析は、多くの変数がある多次元データを少ない主成分に縮約する方法です。主成分というのは、アンケート結果をより少ない指標にまとめなおした数字のことを指しています。要点のみをまとめて分析するため、データの特徴や構造をシンプルに把握できる手法といえるでしょう。
3.決定木分析
決定木分析は、結果をもたらす原因となっている変数(説明変数)から、どのような結果がもたらされるかを樹形図に整理する方法です。説明変数ごとに分岐させていくため、視覚だけで簡単に理解できます。クロス集計を何度も繰り返す手間を決定木分析によって省けるため、時間短縮にも役立つ分析方法です。
4.時系列分析
時系列分析は、時間の経過によるデータの変化を見る手法です。データが変化するタイミングを把握することで、変化要因の特定から改善へとつなげられます。時系列分析を予測に活用するためには定期的なデータ収集が必要です。データが揃えば、いつ、どんなときにどう変化するのかを予測できるようになります。
5.アソシエーション分析
アソシエーション分析は、ある仮定から結果を想定することで、関係性やパターンをデータから見つけ出す手法です。一見、関連性がないようなことでも、アソシエーション分析を使うと想定外のパターンが見えてくることもあります。
アンケートの自由記述の分析
自由記述で得られたデータは、様々な手法で分析できます。自由記述で書かれた数字を分析する「数値回答分析」もありますが、ここでは主にテキストデータの分析について解説します。
1. テキストマイニング
テキストマイニングは、大量の自由記述データから有益な情報やパターンを抽出する分析手法です。形態素解析によりテキストを単語や文節に分解し、出現頻度や単語間の関連性を統計的に分析します。これにより、回答者が何について多く言及しているか、どのような単語が一緒に使われる傾向があるかなどを客観的に把握できます。
例えば、製品の不満点に関する自由記述からは「使いづらい」「分かりにくい」といった単語の出現パターンを分析し、改善すべき要素を特定できます。
関連記事:テキストマイニングとは?活用方法やアウトプット例までご紹介!
2. 感情分析
感情分析は、自由記述の内容がポジティブかネガティブか、あるいは特定の感情(喜び、怒り、不安など)をどの程度含んでいるかを判定する分析手法です。単語や表現のニュアンス、文脈を考慮して感情の種類や強度を数値化します。これにより、顧客満足度調査では数値だけでは捉えきれない感情的反応を定量化できます。
例えば、新商品に対する反応が「驚き」と「期待」のどちらが強いか、あるいはサービスへの不満がどの程度強い感情を伴っているかなどを測定できるため、優先的に対応すべき課題の特定に役立ちます。
関連記事:感情分析の手法と注意点│企業が取り組むべきデータ活用
3. ワードクラウド
ワードクラウドは、自由記述の分析結果を視覚的に表現する手法です。出現頻度の高い単語ほど大きく表示され、一目で重要キーワードを把握できます。色分けや配置によって関連性や分類も表現でき、直感的な理解を助けます。経営層や非専門家へのプレゼンテーションに適しており、複雑なデータ分析の結果を分かりやすく伝えられる点が強みです。
4. 生成AIによる要約・分類
生成AIを活用すると、大量の自由記述を効率的に要約したり、内容に基づいて自動分類することができます。文脈理解や潜在的なトピック発見に優れ、より人間の理解に近い分析が可能です。特に予想外の意見やニッチな課題の発見に役立ち、定型的な分析では見落とされがちな洞察を得られる点がメリットとなります。
アンケート分析のポイント
アンケート分析はポイントを押さえることで質を高められます。一方、漠然と分析をしても、企業の収益を高められるような結果につながらないことも多いでしょう。ここでは、アンケート分析の重要なポイントを解説します。
1.データの有意性を検証する
アンケートを分析するときは、データが統計的に信頼できるかどうか、つまり有意性を検証する必要があります。有意性を検証するためには、回答数と回答者の代表性の2つを見るとよいでしょう。回答数が少ないケースはデータの偏りが出やすくなり、分析の精度が低いと判断されます。また、回答者の構成が偏っていると、客観的なデータが得られません。
2.有効回答の基準を決定する
アンケートの集計をする際には、まず有効回答と無効回答を分けます。事前に、有効となる回答の基準を決めておくことが必要です。例えば、1つめの質問で「Aと答えたものを有効回答、Bと答えたものは無効回答」といったような分け方をします。
一方、アンケート集計をするにあたり有効回答率が全体の5%以下になるような厳しい基準は不適切です。
3.全体を把握してから細部を見る
アンケート分析は、基本的に全体の傾向をつかんでから細部を詳しく見ていきます。細部を見るだけでは誤った仮説を立てる可能性があるため注意しましょう。全体像を把握してから、細かく数値を見ていくという流れで進めば、論理的な分析結果を導き出せる可能性が高まります。
4.データの相関関係を解読する
アンケート分析のゴールは、データを解読して結論を導き出すことです。アンケート結果は集計、分析をしますが、ただ分析するだけでは意味がないことも多いでしょう。数値の相関関係を明確にしたうえで、結論付けることが重要です。
相関関係の要因がわかれば論理的な分析結果といえるため、施策に反映できます。あくまでも分析結果を施策に役立てることが目的です。
5.適切なグラフで視覚化する
分析結果は、視覚でわかるようにグラフ化することが重要です。グラフ化する際は、できるだけ視覚的な説得力を持つグラフを選ぶことがポイントになります。例えば、単一回答は円グラフ、構成比を見たい場合は帯グラフなど、目的によって最適なグラフがあります。伝わりやすさを意識して選ぶとよいでしょう。
6.設問設計を意識する
特にテキストマイニングを前提としたアンケートでは「設問設計」が重要です。一般的には選択肢を選ばせる質問でも、あえて自由記述で回答してもらうことで、設問者の恣意性をなくして顧客のリアルな意見を収集できるようになります。
アンケート分析はテキストマイニングで効率と精度を上げよう
アンケート分析は、企業がアンケート結果を活かすために必要なプロセスです。集計と分析の方法は多種多様ですが、人の手でアンケート結果を集計すると膨大な時間がかかる可能性があります。目的に応じて適切な分析を行うのはもちろん、分析結果をグラフなどでわかりやすく可視化して、アンケート結果をいち早くマーケティングで活用できる環境を整えることが重要です。
テキストマイニングツールを活用すれば、通常SNSでは収集できないような顧客の声をアンケートで収集できます。今あるデータに加えアンケート収集も可能で、瞬時にアンケートの結果を可視化できるため、そのときの問い合わせ傾向や話題の変化を瞬時に把握できます。例えば、アンケートを1問、モニター向けに実施すれば、1週間で数百~数千の一般消費者の声を集めることも可能になります。
また、時系列の流れを話題ごとにモニタリングすることで、内容の変化も簡単に把握できます。アンケート結果から見える話題や傾向はターゲットに合わせた企画に役立ち、製品・サービスに関する要望や不満を可視化すれば、顧客ニーズの発見につながるでしょう。
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