NPS®︎(ネットプロモータースコア)とは?顧客満足度との違いや計算方法を解説

NPS®︎とは、顧客ロイヤルティを客観的に把握するための指標です。NPS®︎を活用すれば、自社の商品やサービスをどのように改善すればよいかわかり、売上の向上にもつなげられます。
この記事では、自社のビジネスやマーケティングのためにNPS®︎を活用したいと考えている担当者に向けて、NPS®︎の概要やメリットなどを解説します。調査方法も解説するため、ぜひ参考にしてください。
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NPS®︎(ネットプロモータースコア)とは?
NPS®︎(ネットプロモータースコア)とは、顧客ロイヤルティを数値で把握するための指標です。商品やサービスを友人や家族にどの程度勧めたいと感じているか質問し、その度合いをスコア化します。
NPS®︎は、2003年にベイン・アンド・カンパニー社が提唱しました。同社は、アメリカの大手コンサルティング会社です。ハーバード・ビジネス・レビューで発表されて以来、多くの企業がNPS®︎を導入しました。欧米の売上上位企業(フォーチュン500)の3分の1以上が活用しており、提供している商品やサービスの改善のために役立てています。
たとえば、©2022 Googleやアメリカン・エキスプレス®︎などもNPS®︎を活用しています。
NPS®︎の計算方法
NPS®︎を測定するときは、まず顧客に質問をして0から10の度合いで評価してもらう必要があります。回答の度合いごとにカテゴリを分けましょう。具体的には、10〜9点をつけた人は推奨者(Promoter)、8〜7点をつけた人は中立者(Passive)、6〜0点をつけた人は批判者(Detractor)に分類します。
NPS®︎のスコアは、推奨者と批判者の比率の差です。たとえば、推奨者が50%、批判者が10%である場合、NPS®︎のスコアは40になります。
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NPS®︎をビジネスで活用するメリット
NPS®︎は、自社の利益を向上させるために何が必要なのかを判断するのに役立ちます。商品やサービスだけでなく、営業活動やマーケティングの取り組みの改善につなげることができ、それぞれの顧客に最適なアプローチをするためのヒントも得られます。
顧客ロイヤルティを数値化できる
これまで感覚的に捉えられていた「顧客の愛着や信頼」という目に見えない価値を、明確な数値として可視化できます。時系列での変化や部門間・製品間の比較が容易になり、意思決定の客観的な根拠として活用できるようになります。経営陣への報告や社内での共有もシンプルになり、全社で顧客体験向上に取り組むきっかけを作ることができるでしょう。
具体的な改善点が見つかる
スコアに加えて収集される自由回答データから、顧客が実際に何に満足し、何に不満を抱いているのかを具体的に把握できます。特に低評価の理由分析は、商品開発やサービス改善における優先順位付けに役立ちます。また、顧客セグメント別の分析により、それぞれの顧客層に最適なアプローチを検討することも可能になります。
事業成長との関連性がわかる
推奨者の増加は、既存顧客からのリピート購入や口コミによる新規顧客獲得につながり、売上向上に貢献します。実際、NPS®︎と売上成長率には相関関係があるとされており、スコア向上のための取り組みが事業成果に直結することを示す指標として活用できます。顧客満足が企業の収益にどう影響するかを説明する際の有力な材料となるでしょう。
競合との差別化に役立つ
業界内での比較により、自社の強みと弱みを客観的に把握できます。高評価ポイントは強化してマーケティングに活かし、低評価ポイントは重点的に改善することで、競争優位性を構築できます。また、定期的な測定により業界トレンドや顧客期待値の変化をいち早く察知し、他社に先駆けた施策を打つことも可能になります。
NPS®︎と顧客満足度の違いは?
NPS®︎は顧客満足度とどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
顧客満足度の特徴
顧客満足度は、あくまでも顧客本人のそのときの評価を表しています。そのため、単に顧客満足度を向上させる施策に取り組んでも、その後の売上向上につながるとは限りません。
また、顧客満足度の定義に明確な決まりはなく、企業によって解釈はさまざまです。アンケートを取る場合も項目の基準が特にないため、複数の企業の顧客満足度を一律に比較するのは困難です。
NPS®︎の特徴
NPS®︎を測定するときは、商品やサービスを友人や家族にどれくらい勧めたいか質問します。NPS®︎の質問項目はどの企業でも基本的に同じです。顧客本人の満足度だけでなく、その満足度が将来の売上にどの程度つながるかについても確認できます。
NPS®︎は売上に直結する指標であるため、NPS®︎の数値が高いほど利益を向上させられるでしょう。自社の業績を伸ばすには、顧客満足度以上にNPS®︎を重視する必要があります。
NPS®︎とeNPS®︎の違いは?
eNPS®︎とは「Employee Net Promoter Score」の略であり、社員を対象としています。一般的なNPS®︎では顧客に質問しますが、eNPS®︎では社員に質問して職場の推奨度を測ります。自分の職場を友人や家族にどの程度勧めたいか質問することで、その職場が社員からどの程度信頼されているかをチェックすることが可能です。社員の職場に対する愛着度も確認できます。
eNPS®︎の測定により社員の意識を定量的に把握できるため、社内の環境を整備するうえで役立つでしょう。
NPS®︎の調査方法
NPS®︎はどのように調査すればよいのでしょうか。ここでは、具体的な調査方法を解説します。
トランザクション調査
トランザクション調査とは、自社が顧客に体験を提供した直後に調査する方法です。たとえば、顧客が商品を購入したりサービスを利用したりしたら、すぐにアンケートをとって体験を評価してもらいます。
顧客が自分自身の体験についてはっきり記憶しているうちに質問できるため、実態を正確に把握できます。自社の商品やサービスにどのような課題があるかについても、理解しやすくなるでしょう。
リレーショナル調査
リレーショナル調査とは、自社のブランドが顧客に提供している体験の全体像を調査する方法です。顧客は年間を通して自社とさまざまな接点をもっています。たとえば、商品を購入するだけでなく、問い合わせを行う場合も自社と接触しています。自社のブランドに関わる体験をまとめて総合的に評価する方法です。
顧客の総合的な評価を把握でき、特にどのような体験が顧客にとって重要であるか確認できます。リレーショナル調査は、年に1〜2回程度実施するとよいでしょう。
NPS®︎の質問文の例
NPS®︎の質問文の基本は「この商品やサービスを、友人や家族にどの程度勧めたいですか?」です。特に、商品やサービスのターゲットが限定的である場合は、具体的にどのようなシーンで勧めたいかについても確認するとよいでしょう。
あわせて、顧客が商品やサービスを知ったきっかけや購入を決めた理由などについても質問すると、ビジネスの改善につながります。タッチポイント(顧客接点)における満足度について、質問するのもおすすめです。自社が把握したい内容にあわせて質問を追加しましょう。
NPS®︎を導入する際のポイント
NPS®︎を導入する場合、単にスコアを測定するだけでは意味がありません。スコアを把握したうえで、具体的な改善につなげる必要があります。
全社的な取り組みとして推進する
NPS®︎の導入効果を最大化するには、特定の部署だけでなく全社的な取り組みとして位置づけることが重要です。経営層が積極的に関与し、各部門がスコアと顧客の声に責任を持つ体制を整えましょう。調査結果は社内で広く共有し、部門を越えた改善活動につなげることで、顧客体験の向上という共通目標に向かって組織全体が動く仕組みを作りやすくなります。
業界データと比較分析する
自社のNPS®︎スコアだけでは、その数値が高いのか低いのかの判断が難しいケースがあります。業界内のNPS®︎の平均や競合企業の数値と比較することで、自社の立ち位置を正確に把握できるようになります。業界ベンチマークとの差異から、自社の強みや弱みを分析し、競争優位性を築くための具体的な施策を検討しましょう。
顧客のフィードバックに向き合う
NPS®︎調査の価値は、単なるスコアではなく顧客からの具体的なフィードバックにあります。特に「その理由は何ですか?」という自由回答欄の内容に真摯に向き合い、顧客が本当に何を求めているのかを理解することが大切です。ポジティブな意見からは強化すべき点を、ネガティブな意見からは改善すべき点を見出し、自社が提供している体験をどのように進化させるべきか検討しましょう。
NPS®︎を活用できるシーン
NPS®︎はさまざまなシーンで活用できます。たとえば、自社の商品やサービスを改善したいと考えているなら、具体的にどの部分を改善すればよいかヒントを得るために活用できます。顧客の評価をもとにすれば、顧客からより求められる商品やサービスに刷新できるでしょう。
また、ブランド戦略を新しくする場合やプロモーション施策を見直したい場合なども、NPS®︎による評価が役立ちます。顧客による客観的な評価を参考にし、より効果的なブランド戦略やプロモーション施策を検討しましょう。
NPS®︎を導入するうえでの注意点
NPS®︎はビジネスの様々な場面で役立ちますが、効果的な活用のためには以下のような点に注意する必要があります。
定期的に測定を行う
NPS®︎は一度きりの調査ではなく、定期的な測定によってその価値が高まります。継続的に実施することで、スコアの変化から自社の取り組みの効果の確認や、顧客ニーズの変化をいち早く察知できます。四半期や半期ごとなど、自社のビジネスサイクルに合わせた測定頻度を設定し、マーケティング施策や顧客体験改善の効果検証にも活用しましょう。
目的に合わせてターゲットを限定する
すべての顧客に対して一律に調査を行うのではなく、目的に合わせて適切なターゲットを設定することが重要です。例えば、新規顧客と既存顧客では評価基準が異なる場合があります。また、特定の製品・サービスの評価を知りたい場合は、その利用者に限定して調査を行う方が、より具体的で活用しやすい結果が得られます。調査の目的を明確にし、最も有益な情報が得られるターゲット設定を心がけましょう。
十分な回答数を確保する
信頼性の高いNPS®︎スコアを得るためには、統計的に意味のある回答数を確保することが不可欠です。回答数が少なすぎると、一部の極端な評価に全体が左右されてしまう恐れがあります。特に顧客セグメント別の分析を行う場合は、各セグメントで十分なサンプル数が必要です。回答率を高めるために、調査のタイミングや依頼方法を工夫し、回答者へのインセンティブを検討するなど、戦略的なアプローチを取りましょう。
まとめ
NPS®︎は、ビジネスを成長させるために必要な情報を測定できる指標です。将来の売上につながる評価を確認できるため、導入する企業が増えています。自社の状況にあわせてNPS®︎を活用し、利益の向上を目指しましょう。
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