クロスセクションデータとは?パネルデータや時系列分析との違いを解説


クロスセクションデータとは?パネルデータや時系列分析との違いを解説

クロスセクションデータとは、分析に用いられるデータ群のことです。特定のデータの照合や比較する際に有効な手段として活用されています。データ分析を行うにあたって、クロスセクションデータを詳しく知りたいという人も多いでしょう。この記事では、クロスセクションデータの特徴や時系列データとの違い、分析方法などを解説します。

クロスセクションデータとは

クロスセクションとは、横断的と訳される言葉です。クロスセクションデータは、複数の要素を横断的に収集したデータを意味します。具体的には、ある時点における場所やグループごとに複数の項目を記録したデータのことです。一般的に、クロスセクションデータは横断面データとも呼ばれています。

 

クロスセクションデータの特徴

クロスセクションデータは分析するデータが時間軸に左右されないため、複数の項目ごとに相関関係を明確にできます。国や自治体が作成している統計データの多くは、クロスセクションデータです。分析したいデータをクロスセクションデータに置き換えることで、データの照合や比較作業を迅速に行えるようになります。

 

クロスセクションデータと時系列データの違い

時系列データとは、1つの項目のデータを時間の経過がわかるように整理したデータのことです。一言で説明すると、時系列にまとめたデータを指します。時系列データは、時間の推移によって変化するデータの分析に有効です。クロスセクションデータと時系列データは異なる特徴を持ちますが、視点を変えるとクロスセクションデータも時系列データの1つといえます。


パネルデータとは

パネルデータとは、観察の対象となる項目が複数あり、それぞれのデータで時間の経過がわかるようにまとめられたデータのことです。アンケートサイトや調査会社を利用し、欲しい情報を意図的に収集してデータを整理します。パネルデータは、クロスセクションデータと時系列データの両方の特徴を併せ持つデータです。

 

クロスセクション分析とは

クロスセクション分析とは、時間の推移によって変化する事象を分析する手法です。ある時点のデータを断面的に切り取ることで、複数のデータの関係性を分析できます。たとえば、1つの要素が別の要素に影響を及ぼす要因の相関関係を分析する際に、おすすめの分析手法です。クロスセクション分析は、横断面分析と呼ばれることもあります。

 

クロスセクション分析するメリット・デメリット

クロスセクション分析には、メリットとデメリットがあります。それぞれのメリットとデメリットについて、以下で解説します。

 

クロスセクションデータを分析するメリット

クロスセクション分析を行う主なメリットは、データ間の相関関係の明確化と、照合や比較のプロセスの簡潔化です。クロスセクションデータを分析するとデータ間の相関関係が明確になるため、より詳細な情報を読み取れるようになります。また、集計した複数のデータ間の複雑な関係性はもちろん、データの照合や比較するプロセスを簡潔に進められるでしょう。


クロスセクションデータを分析するデメリット

クロスセクションデータを分析した場合のデメリットは、時系列データのような時間経過による推移を読み取れないことです。クロスセクションデータには、項目ごとの上昇または下降傾向などの時間的な要素が含まれていません。そのため、将来を予測する分析を行いたい場合は別の分析手法を試す必要があります。

 

時系列分析(タイムシリーズ分析)とは

データ分析の手法の1つに、時系列分析(タイムシリーズ分析)があります。特徴や変動要因などを以下で解説します。

 

時系列分析とは

時系列分析とは、特定の指標を時間の経過に沿って分析し、将来の予測を立てる分析手法のことです。時系列分析では、時間の変化とともに整理された観測値を表す時系列データを使用します。時系列分析はタイムシリーズ分析と呼ばれており、クロスセクション分析(横断面分析)の対義になる分析手法です。

 

時系列分析における変動要因

時系列分析に用いられる時系列データは、3つの変動要因によって成り立っています。3つの変動要因は、次のとおりです。


・長期変動要因

・季節変動要因

・不規則変動要因


長期変動要因とは、長期的なトレンドのことです。季節変動要因は、1年間や月別、週別、曜日別などの周期を指します。不規則変動要因とは、突発的に発生した特異的変化や誤差の変動のことです。時系列分析では時系列データを分解し、3つの変動要因の組み合わせを分析することで将来の予測を立てていきます。

 

時系列分析のモデル

時系列分析には、以下に挙げる5つのモデルがあります。


・ARモデル(自己回帰モデル)

・MAモデル(移動平均モデル)

・ARMAモデル、ARIMAモデル、SARIMAモデル

・ARCHモデル、GARCHモデル

・状態空間モデル


ARモデルは、ある時点と過去のデータを使用して回帰したモデルを表します。回帰とは、元の状態に戻ったり、それを繰り返したりすることです。MAモデルは、ある時点のデータが過去の値や誤差に影響を受けていると考えられているモデルを指します。ARMAモデル、ARIMAモデル、SARIMAモデルは、ARモデルとMAモデルを組み合わせたモデルです。


ARCHモデル、GARCHモデルは、時間の経過とともに変動する標準偏差の動きを表現したい場合に用いられます。状態空間モデルとは、時間によって変化する状態と、それによって決まる観測値について考えることができるモデルです。

 

回帰分析とは

回帰分析とは、統計的手法の1つです。以下では、回帰分析の特徴とメリットやデメリットを解説します。

 

回帰分析とは

回帰分析とは、影響を受け合う複数の値の関係性を探るための手法です。具体的には、ある結果にかかわる要因にどのような影響を及ぼすのかを調べます。回帰分析では、関数の式に置き換えることが前提です。主に施策の将来予測や事業の最適化を図りたいとき、効率化を進めたい場合に用いられる統計手法です。

 

回帰分析のメリット

回帰分析を行うメリットは、統計的な根拠をもとに推論を立てられることです。回帰分析を活用すると、データを収集できない部分についても予測を立てやすくなります。例えば、将来に見込まれる売り上げや利益を予測したり、効果を最大化するためのシミュレーションを行ったりする場合におすすめです。

 

回帰分析のデメリット

回帰分析のデメリットは事前に洗い出した要因が不十分だったときに、ほかの影響を及ぼす要因が存在する可能性があることです。回帰分析を利用して将来の予測やシミュレーションをする際は、あらゆる可能性を考えて要因を洗い出す必要があります。すべての可能性を考慮すれば、より正確な分析ができるでしょう。


データ分析を活用する際の注意点

データ分析を行う際は、いくつか注意すべきことがあります。以下に挙げる注意点に気をつけましょう。

 

データ分析の目的を明確にする

データ分析を行う前に、なぜ分析をする必要があるのか、目的を明確にすることが重要です。目的を定めなければ、どのような分析手法を活用すればよいのか、何のデータを収集すればよいのかが明確化できません。データ分析の目的の例は、次のとおりです。


・業務の効率化

・売り上げの向上

・新規事業の創出など


目的に合ったデータを抽出することで、精度の高い分析が行えます。


セキュリティ対策が必要

取り扱うデータや情報の漏えいを防ぐために、セキュリティ対策を施しておくことが重要です。近年、保管するデータを人質にして金銭を要求するといった事件が増えています。情報が外部に流出すれば社会的な信用はもちろん、顧客からの信頼も失いかねません。データは細心の注意を払って取り扱い、セキュリティ対策を施したうえで適切な方法で保管しましょう。

 

データの結果と向き合う

どのような分析結果が出たとしても、客観的な視点で捉えましょう。分析結果が仮説を裏付けるものでなかった場合、主観的な解釈が行われるリスクが高まります。それによって間違った判断を下してしまえば、企業に損害を与えてしまうでしょう。精度の高いデータ分析を行うためには地道な仮説検証をし、繰り返し試行錯誤する必要があります。

 

データ分析なら見える化エンジンがおすすめ

データ分析を効率的に行うなら、見える化エンジンの活用をおすすめします。見える化エンジンは、X(旧Twitter)認定プログラムを受けているテキストマイニングツールです。見える化エンジンでは、アンケートだけでなくコールセンターの蓄積データやSNSでの顧客の声など、幅広いデータソースを取得したうえで専門的な分析が行えます。


まとめ

クロスセクションデータは、複数の要素を横断的に整理したデータを指します。データ分析を活用する際は、まず目的を明確にし、主観的な解釈をせずに分析結果を客観的に捉えることが重要です。効率的にデータ分析をするなら、ITツールの利用をおすすめします。


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