VOC(顧客の声)とは?分析するメリットやポイントを解説

VOCの分析は、企業が他社との競争に打ち勝つために重要であるといわれています。しかしVOCという言葉の意味を知らなかったり、VOCに取り組むメリットがわからなかったりする人もまだまだ多いでしょう。
本記事では、ビジネスにおいて大切なVOCについて、分析する目的やメリット、分析のやり方、ポイントなどを解説します。役立ててください。
VOC(顧客の声)とは
VOCとは、「Voice of Customer」の略です。具体的には、直接企業に届いた意見や、顧客自身がSNSなどで発信しているさまざまな内容のことを示します。
VOCから顧客が商品やサービスに対して、どんな点を評価しているのか、どの程度満足しているのか、といったことがわかります。反対に顧客が商品のどこを不満に感じているのか、ということも明らかになるでしょう。
したがってVOCは一般的に、顧客満足度を高めるために役立つとされています。
VOC活動とは
VOC活動をわかりやすくまとめると、顧客の声を集め、分析・活用することです。顧客の声はSNS、アンケートやレビュー、コールセンターなどで収集することができます。これらの声を集め、情報を管理したうえで、企業の商品やサービスが持つ課題を洗い出さなくてはなりません。
課題から解決のための施策を策定し、実践にうつします。最終的には顧客体験価値の向上を目指すことが、VOC活動の目的です。
VOCの重要性とは
データに基づく戦略構築が求められる中、VOCの価値はますます高まっています。
競争優位性の確保
VOCの効果的な活用は市場での競争優位性確保に直結します。顧客の期待や不満を把握すれば、競合他社より早く市場変化や新たなニーズを捉えられます。デジタルマーケティングでは、多様化する顧客接点から得たVOCを統合的に分析することが肝心です。一般的な市場調査では見えない細かなフィードバックから、独自の差別化ポイントが浮かび上がるでしょう。
顧客視点による事業見直しは長期的な競争力の源泉となり、定期的なVOC分析によって顧客ニーズの変化に先回りした戦略立案も可能になります。
適切なマーケティング戦略
VOCの活用によってマーケティング戦略の精度と効果が向上します。顧客の生の声からは、定量データだけでは見えない潜在ニーズや心理的購買障壁が明らかになります。こうした洞察を広告クリエイティブやコンテンツマーケティング、顧客接点の最適化に活用すれば、施策全体の質が高まるでしょう。
継続的なVOC分析によって、市場変化に合わせた適切な戦略調整も可能になります。デジタルマーケティングの効果測定と組み合わせれば、投資対効果の高い施策を見極められます。
クレームやトラブルの防止
VOCの活用はクレームやトラブルの防止に効果的です。顧客からの小さな不満や改善要望を早期に把握すれば、大きな問題に発展する前に適切な対応が可能になります。特に否定的なフィードバックには、製品やサービスの重要な改善点が含まれていることが多く、貴重な気づきの機会となります。
デジタルマーケティングの観点では、SNSやレビューサイトの声を分析することで風評被害のリスクも早期に察知できます。こうした予防的なVOC活用は、長期的な顧客関係構築の基盤となり、企業の信頼維持に貢献します。
VOCを分析するメリットとは
VOCは、収集するだけでは役に立ちません。分析することに意味があります。それはなぜでしょうか。VOCを分析するメリットについてまとめました。
関連記事:顧客満足度の向上につながるVOC分析とは?導入手順や自社調査・分析の方法を解説
売上アップにつながる
VOCを分析することは、売上アップにつながります。なぜなら、VOCから「これまで顧客が商品・サービスを購入しなかった理由」を把握できる可能性があるからです。
「ここが不安だから購入しない」という声や、「購入したがここが不満だからもう買わない」といった声について、適切な対策を行うことで顧客の幅が広がるでしょう。
製品開発・改善に役立つ
VOCをもとに、製品の開発や改善を行うことも可能です。
「もっとこうなったらいいのに」という顧客の希望などをもとにすれば、商品やサービスの改善に役立つでしょう。さらに「こんな商品があったらいいのに」などの意見から、潜在ニーズを発見できる可能性もあります。ニーズにあった商品開発や商品の改善で、より販売の機会が増えることが期待できます。
顧客満足度が向上しやすい
VOCは顧客の要望をダイレクトに企業へ伝えてくれます。すなわち、顧客の要望に迅速に対応することで、顧客満足度の向上につながりやすくなる可能性もあるでしょう。顧客の要望を聞いてくれる、利用すべき企業、というイメージを与えられるかもしれません。
VOCを収集する方法
VOCを収集する主な方法は、以下のようなものが挙げられます。
SNS
SNSは顧客が自発的に意見や感想を発信する場として、貴重なVOC情報源となっています。X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどのプラットフォームでは、商品やサービスに関する生の声が日々投稿されています。こうした声はリアルタイムな反応であり、フィルターのかかっていない本音が表れやすい特徴があります。SNS上の投稿を定期的にモニタリングすることで、顧客感情やトレンドの変化をいち早く察知できるでしょう。
特に新商品発売時や大規模なキャンペーン実施後には、集中的に分析すると効果的です。SNS分析ツールを活用すれば、膨大な投稿から関連する声を効率よく抽出することも可能になります。
アンケート
アンケートは目的を明確にした質問を通じて、必要な情報を直接収集できる手法です。Webサイトやメールでのオンラインアンケートなら、比較的低コストで大量のデータを集められます。設問設計の工夫により、定量的なデータと定性的な意見の両方を収集できる点も大きな利点です。
特に顧客満足度調査やNPS®︎(顧客推奨度)調査などは、経営指標としても活用できる重要なVOCになります。自由記述欄を設けることで、予想していなかった課題や改善アイデアが見つかることも少なくありません。導入のハードルが低く即効性があるため、多くの企業がVOC活動の基本として取り入れています。
コールセンター
顧客と直接会話するコールセンターは、深みのあるVOCを収集できる貴重なチャネルです。電話やチャットでの問い合わせ内容には、顧客が実際に困っている点や不満、期待が具体的に表れます。特に問い合わせ頻度の高い内容を分析すれば、多くの顧客が共通して抱える課題を特定できます。対応記録を体系的に蓄積・分析することで、製品改善や顧客対応の質向上に役立てられるでしょう。
また、直接の会話から得られる感情的な反応や細かなニュアンスは、他の手法では捉えにくい貴重な情報となります。近年では音声認識技術の発展により、通話内容を自動的にテキスト化してテキストマイニングなどで分析する手法も登場しています。
VOC活動における課題
VOC活動は企業にとって大きな価値をもたらす一方で、実践する上ではいくつかの課題に直面します。これらの課題を理解し、適切に対処することが効果的なVOC活動への鍵となります。
分析リソースが不足しやすい
VOCデータの増加に伴い、それらを適切に分析するためのリソース確保が課題となることがあります。企業や業種によっては、日々蓄積される顧客の声を活用するための人員や時間、専門知識が十分でないケースも見られます。特にSNSやアンケートの自由記述、問い合わせ内容などのテキストデータは、単純な集計だけでは本質的な洞察を得ることが難しいものです。また、担当者の経験や主観に頼った分析では、データの一貫性や客観性が損なわれる可能性もあります。
近年ではテキストマイニングツールなどの活用により、限られたリソースでも効果的にVOCを分析しやすくなっているので、必要に応じて検討するのがおすすめです。
部門間の連携不足
VOCは様々な部門にまたがる情報であるため、部門間の連携不足が効果的な活用の妨げになります。マーケティング部門が収集した顧客の声が製品開発部門に適切に共有されないなど、情報の分断が改善機会の損失につながる可能性があります。また、各部門が独自の目的でVOCを収集・管理していると、全体像の把握が困難になります。
こうした連携不足を解消するには、部門横断的な情報共有の仕組みづくりや、全社的な顧客中心の文化醸成が重要です。VOCを組織全体の共有資産として扱う意識改革が求められます。
VOCの適切な活用が難しい
収集したVOCを実際のビジネス改善に結びつけることは容易ではありません。多様な声の中から、真に対応すべき重要な課題を見極める判断が求められます。声の大きな一部の顧客意見に偏りすぎると、幅広い顧客層の満足度向上につながらない可能性があります。
また、経営資源の制約がある中で、どの声に優先的に対応するかの決定には、顧客満足度への影響や事業目標との整合性などの観点が必要です。VOCの収集と分析だけでなく、それを具体的なアクションにつなげる仕組みを構築することが、成功への重要な要素となります。
VOC活動を進める際のポイントとは
VOC活動を進めるにあたっては、留意すべきポイントがあります。ここではそのポイントをチェックしましょう。
目的を明確にする
まずはVOC活動の目的を明確にすることです。目的が定まっていないと、ただ情報を集めるだけの作業になってしまいます。多くの情報を集める労力がかかる反面、何の効果も発揮できないということになりかねません。
目的を設定することで、必要な情報が明確になります。収集する情報を絞れるため労力も減り、集めた情報をどのように分析するかという方針も立てられるでしょう。効果の高いマーケティングを展開できるようになるのがメリットです。
適切な収集方法を選択する
適切なVOCの収集方法を選択することも重要なポイントです。それぞれに特徴があるため、顧客や入手したい情報にあわせて収集方法を選択しましょう。例えば若年層の声を集めるのであれば、SNSを上手に活用すると効果的です。コンタクトセンターも、生の声が多く集まるツールです。Webアンケートでは対象の年齢を限定し、欲しい人数分のアンケートを収集できます。
また、モニターアンケートや商品レビューなどもVOCのひとつです。実際に商品を使った人の声は商品開発や、改善などにそのまま活かすことのできる貴重な資料となるでしょう。
専用システムを用意する
VOCを集めるためには、専用システムを用意することが重要です。集めた情報は各部署で利用方法が違うため、基幹システムなどを用いて社内全体でデータを管理・共有できる状態が望ましいでしょう。
新しいシステムの導入にはコストがかかりますが、正確なマーケティングは売上につながるためぜひ用意したいものです。これらの準備が難しい場合は、既存のシステムをうまく活用する方法を検討しましょう。
分析ツールなどを用いて分析を進める
集めたVOCは、分析ツールなどを用いて分析を進めましょう。VOC分析のツールや、分析の進め方について解説します。
VOC分析のツールとは
VOC分析のツールとは、大量に集めたVOCを目的に沿った形で分析できるシステムのことです。VOC分析ツールには、例えば、テキストマイニングツール、アンケート分析ツールなど、集めたVOCを分析する機能があります。
大量の情報も分析ツールがなければさばききれず、活用できません。一方、情報量を活用できる量に抑えると、少なすぎて解析できないという問題が出てきます。したがってVOC分析ツールは、情報量を十分確保するために必要なものです。
4Aサイクルとは
VOCにおける4Aサイクルとは、「Accept:顧客の声を集める」「Analyze:分析ツールでVOCを分析する」「Acknowledge:分析結果を社内で共有する」「Act:施策を実行する」の4つの行動のことです。
顧客からの要望は常に変化を続けています。VOCを集めることも、分析し商品やサービスに反映させることも、すべて継続しなければなりません。
したがってVOCは、分析ツールで解析するだけではなく、4Aサイクルにもとづいて常に改善を回すことが大切です。4Aサイクルを回すことで継続的にVOCの収集、分析が可能になります。
結果をもとに施策を打ち出す
VOCは情報の収集・分析だけで終わらせず、分析結果に対応するための施策を打ち出すことが大切です。さきほど説明した4Aサイクルの最後のAである「Act」とは、すなわち施策を打ち出して顧客から得たVOCを反映させ、顧客に還元する行動のことを示します。
施策を打ち出し、実行したあとも、今度はそれに対するVOCを集めて新たな施策を打ち出さなくてはなりません。このサイクルを順調に行うためには、運用体制を構築し、企業内で共有することを推奨します。
まとめ
商品やサービスに対する顧客の声「VOC」を集めて分析すれば、顧客の要望が理解でき、企業にとってより有利な経営が可能になります。しかし、VOCの分析結果をもとにして常に改善点を見つけ出し、これを商品やサービスに反映するプロセスがなければ、VOCは役に立ちません。 大量のVOCは、緻密に解析することで初めて、改善点の発見にもつながります。
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