リスクマネジメントとは?リスクの種類や用語・手順をわかりやすく解説


リスクマネジメントとは?リスクの種類や用語・手順をわかりやすく解説

リスクマネジメントとは、あらかじめリスクを予測して対策を考え、リスク回避を行うことです。さまざまなリスクが考えられるため、企業においてはリスクマネジメントが重要だといわれています。この記事では、リスクマネジメント対策をしたいと考えている担当者に向けて、リスクの種類やリスクマネジメントの手順などを解説します。ぜひ、参考にしてください。

「リスクマネジメント」とは

リスクマネジメントとは、事前に起こりうるリスクを予測して対策を講じ、リスクの回避や低減に努めることです。リスクマネジメントを行わない、もしくは軽視していると思わぬリスクに直面して、企業として損失を受けるだけでなく社会的信頼の失墜につながる可能性もあります。事業存続のためには、リスクマネジメントが重要です。


3割以上の企業が「対策無し」

日本損害保険協会の調査によると、中小企業のうち3割以上がリスク対策をしていないという結果が出ています。一方、近年ではさまざまなリスクが増えています。たとえば、自然災害や感染症、サイバーリスクや取引先の廃業などによる売上減少などが挙げられ、実際に被害を受けたことがある割合は3割弱にも上りました。


出典:中小企業のリスク意識・対策実態調査2021調査結果報告書|一般社団法人 日本損害保険協会


リスクマネジメントが重要視される背景

リスクマネジメントの重要性が高まっていますが、なぜリスクマネジメントが注目されているのでしょうか。


企業の成長にはリスクをとる必要がある

企業として成長するために挑戦は欠かせません。挑戦なくして発展はないとはいえ、挑戦するにあたってはさまざまなリスクがあるため、ある程度のリスク許容も必要です。しかし、リスクがある挑戦においては、踏み出すことをためらってしまう企業も少なくないでしょう。リスクマネジメント体制を整えることで、企業としての新たな挑戦に踏み出しやすくなります。


急速にアウトソーシング化が進んでいる

近年では、業務の分業化や複雑化が加速化しており、アウトソーシングも進んでいます。アウトソーシングの依頼先での法律違反により依頼先の業務が停止するリスクや、品質低下などのリスクが考えられます。このように、事業環境が変化したことによる新たなリスクが生まれているため、リスクマネジメントの重要性が高まっています。


リスクマネジメントの今後

時代とともに顕在化するリスクが変わるように、リスクマネジメントも時代とともに変化しています。しかし、現代のビジネス環境ではリスクの予測は困難です。そのため、変化に対応した対策を講じる必要があります。このように、VUCA(ブーカ)時代へ突入したことにより、リスクを避けるのではなくリスクを取る方向へと進んでいるようです。


VUCA(ブーカ)とは

VUCAとは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉です。簡単にいえば、未来の予測が困難な状態を指します。「未来予測が困難=リスク予測が難しい」となるため、リスクを避けるのではなくリスクにいかに対応するかを重視する時代に突入しています。


「リスク」の種類

そもそもリスクとは何なのでしょうか。リスクとは、国際標準化機構(ISO)のガイドラインによると、「目的に対する不確実性の影響」と定義されています。以下では、二種類のリスクについて解説します。


出典:ISO 31000:2009(en), Risk management — Principles and guidelines


純粋リスク

純粋リスクとは、企業に損害や損失だけを発生させるリスクのことです。純粋リスクの例としては以下のようなものが挙げられます。


・財産リスク:地震や大雨、台風などの自然災害、盗難などの人的災害により発生する財産的なリスク

・人的リスク:社員の病気や事故などによるリスク

・費用・利益リスク:取引先の倒産・廃業などによる収益減少や、コスト増加によるリスク

・賠償責任リスク:著作権などの他者の権利の侵害、製造物責任などのリスク


投機的リスク

投機的リスクとは、企業が受ける損害や損失だけではなく、利益を生む可能性も含むものでビジネスリスクともいわれます。投機的リスクの例としては、以下のようなものが挙げられます。


・経済的情勢変動リスク:景気悪化や金利変動など

・法的規制変更リスク:法改正や規制の強化・緩和、税制改正など

・政治的情勢変動リスク:政権交代や政策変更、消費動向変化など

・技術的情勢変化リスク:新技術の開発や技術の進化など


リスクマネジメントと混同しやすい用語

リスクマネジメントと混同して使いがちな用語も多くあります。ここでは、リスクマネジメントと混同しやすい用語を3つ解説します。


リスクアセスメント

リスクアセスメントとは、リスクを特定し分析、リスク評価をする流れのことを指します。リスクアセスメントはリスクマネジメントの一部であり、リスクマネジメントには欠かせないプロセスです。企業にある潜在的なリスクや有害性などを見つけ出して分析し、優先度の設定やリスク低減措置などを決定します。


クライシスマネジメント

クライシスマネジメントは、損失を最小限にするための対応のことです。マニュアルでは対応できないような重大事故などに備えて対応しておくことを指し、危機は必ず起こるという考え方で危機管理を行うことが特徴です。テロや自然災害など、想定を超えるような事態が発生した場合に、被害を最小限に抑えるための危機管理を行います。


リスクヘッジ

リスクヘッジとは、考えられるリスクに対して何かしらの対策や工夫を行うことを指します。起こる可能性のあるリスクレベルをあらかじめ予測して、リスクに対応できるような体制を整えることで、ヘッジと呼ばれるケースもあります。また、思わぬリスクや避けられないリスクの影響を最小限に抑える対策や工夫もリスクヘッジに含まれます。


リスクマネジメントの手順

リスクマネジメントを行う際には、5つの手順を踏みましょう。ここでは、リスクマネジメントの手順について詳しく解説します。


リスクを棚卸しして特定する

まずはリスクを特定することが重要です。予測されるリスクをすべてリストアップしていきましょう。この際、想定できる小さなリスクから大きなリスクまで、抜けや漏れがないように洗い出すことが重要です。ほんのわずかなリスクであっても、場合によっては企業の大きなダメージを与えるケースがあるため、しっかりと洗い出してリスクを特定しましょう。


リスクを分析して明確にする

リスクをリストアップしたら、重要度や影響度などを評価・比較するためにリスクの分析を行います。リスクを分析する際には、「影響の大きさ」と「発生する確率」が重要です。それぞれのリスクの影響の大きさ、発生確率を特定しましょう。影響の大きさと発生確率を掛け合わせて、数値が高ければ高いほど高リスクという結果になります。


リスクの評価を行う

リスクを分析した結果をもとにして、可視化し評価を行います。リスクの数は膨大で、すべてに対して同じように対応することは難しいです。そのため、リスクの評価を行って対応の優先度を決めましょう。基本的には発生確率や影響の大きいリスクの優先度が高くなりますが、社内外の状況によって優先度は異なるため注意が必要です。


リスクの対応策を考える

リスクの評価が終わったら、リスクへの対応策を検討します。リスクの優先度が高いと評価されたものや、すぐに取り組めるものから対応していきましょう。リスクへの対策としては、回避・低減・許容・移転といった選択肢があります。想定されるリスクに対してどの対策が適しているかを考え、具体的な対応策を検討しましょう。


リスク対応の分析をして改善する

リスクへの対応策を考えて実施した後は、リスク対応の分析を行いましょう。リスク対応は行って終わりではなく、しっかりと分析して改善点を洗い出すことが重要です。これによって、より効果的な対応が可能となります。PDCAサイクルを回していくことで、リスクマネジメントを実行しながら対応の改善が行えます。


BCP対策でリスクマネジメントをより強固に

BCPとは「Business Continuity Plan」を略したもので、日本語に訳すと「事業継続計画」となります。BCP対策とは、自然災害などのリスクが発生した場合に被害を最小限に抑えて、事業を継続もしくは早期復旧させるための対策を指します。BCP対策を行っておくことで、予測不能な事態が起きても企業の存続が可能です。


まとめ

リスクマネジメントとは、事前にリスクを予測して対策を行い、リスクの低減や回避に努めることです。企業としての成長や新たなリスクに対応するために、リスクマネジメントの重要性が高まっています。リスクマネジメントを行う際には、リスクアセスメントと改善のモニタリングがポイントになります。


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