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サウンドファン、大阪大学微生物病研究所、みずほ銀行が登壇! 『CXカンファレンス2024』開催アフターレポート

先進的にVOC活用に取り組む3組織の事例・講演をレポート!

13年連続シェアNo.1(※)のSaaS型テキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティングは、『CXカンファレンス2024』を開催。「見える化エンジン」導入の3組織(企業2社、1研究所)に登壇いただき、その取り組みや活用事例を紹介していただきました。同講演でお話しいただいた各組織の取り組み事例などをご紹介いたします!
※ 富士キメラ総研2024調べ

1)株式会社サウンドファン 

アンケート、SNSデータ分析による製品の改善と開発


大手音響メーカー出身のベテラン技術者を中心に、2013年に設立した株式会社サウンドファン。
特許技術「曲面サウンド」の技術を活かしたスピーカー「ミライスピーカー」を通して、人々が抱える“聞こえ”の課題解決を目指す、日本初のハードウェアベンチャーです。
VOC活用で製品の改善と開発に取り組む、マーケティング本部・コミュニケーション戦略部の溝田としえ氏に、見える化エンジン導入の背景、活用事例などについてご講演いただきました。
 

ベンチャーゆえに抱えていたリソースの問題を見える化エンジンで解決
期待を超える価値の提供を目指して、新たな取り組みも

当社のミッションは「サウンドドリブン人間活性業」。
聞こえづらい方も、そうでない方も言葉がくっきりと聞こえるスピーカー「ミライスピーカー」を通して、明るく前向きに生活を送る人を増やしたいという思いから定義されています。

当初は空港や銀行などの公共施設を中心に展開していましたが、テレビ番組で取り上げられた後、1000件もの個人のお客様から「個人にも販売してほしい」と問い合わせをいただき、2020年には「ミライスピーカー ホーム」という個人向け商品の販売も開始しました。昨秋より「ミライスピーカー ステレオ」もラインナップに加わっています。

お客様の声を大事にする企業文化がベースにあり、なんでも「やったらええやん」と挑戦するベンチャー体質が当社の特徴です。
一方で、ベンチャーゆえにリソースが限られており、もっとお客様の声を聞いて商品の改善やサービス化を加速させたいのに、なかなか時間を割けないという課題がありました。
そこで決めたのが、見える化エンジンの導入です。導入後はデータを追加するだけで集計からグラフの作成まで全て自動化することができ、レポートを作成する時間はほぼゼロになりました。

 

導入の目的はレポート作成や資料作成の時間短縮ではありません。
分析したデータやお客様の声をしっかりと読み込み、それらに対して何をしていけば課題解決に繋がるのか?など、議論する時間に大切な時間を使いたいというのが大きな目的です。

VOC活用を経営活動に活かすために。
顧客接点の洗い出し〜アプローチ内容検討を実施

VOC活用をどう経営活動に活かしていくのか。最も重要なことは、経営指標の一つとなるKPIの設定だと考えています。
その中でも私たちCSが分析していく必要があるのが「返品率」と「顧客満足度(NPS®/商品満足度)」です。
特に、当社の製品は返金保証があるので、なぜ返品されたのか?という部分を分析していくことが結果的に利益につながっていきます。ですからその点を商品満足度として指標化させていくことが必要だと考えています。
 
その第一歩として行ったアクションが、顧客接点の洗い出しです。

 

 現状の接点とそのアプローチの内容を洗い出し、「このタイミングでこのメールの内容が適切だったか」といったことを利用者にヒアリングし、見直すという作業です。集まった声は見える化エンジンで分析しています。
 
お客様の声を確認する会議体は主に2種類あります。
1つが「カスタマーセンターの定例会議」で、メンバーとは週報・月報のタイミングで会議を開催。月報には社長も出席します。
もう1つが「マーケティング会議」で、毎週定例で開催しています。ここには社長や技術部門責任者出席し、マーケティング部門への改善について議論しています。
上記以外でも、課題・テーマ別に分科会を実施しており、積極的にお客様の声を活用しています。
 

商品名の決定、商品案内の見直しなど、分析を多方面で活用 

見える化エンジンの活用状況として、当社が現在扱っているデータソースは下記です。

  • ネットモニターへのWEBアンケート機能「瞬速リサーチ」での回答(PR・商品名調査等)
  • Amazon等のレビュー
  • お客様アンケート、カスタマー対応ログ等、社内で蓄積されるお客様の声

具体的な分析の例としては、商品名を決める際のイメージ調査に見える化エンジンのWEBアンケート機能「瞬速リサーチ」でアンケートを実施し、FAを含めた回答を分析したケースが挙げられます。
1週間で1,000件近い回答が集まり、それを集約し分析し、弊社が目指す商品のイメージと、お客様の評価が高いコメントを集約し、最適な名称を決定しました。

フリーアンサーが活用できたことで、定量的な結果だけでは見えない回答の背景まで掘り下げた検討につながり、最適な案に導けたと考えています。

このリサーチ機能を活用して「普段の生活の中での音や聞こえの困りごと」を調査し、結果をプレスリリースとして出すこともできました。

 

参考:【プレスリリース】生活の「聞こえ/音」に関するお困り事調査:「テレビの音」が最多(https://soundfun.co.jp/news/10990.html

 
また、返品理由の回答結果を見える化エンジンで分析することで、返品の理由をより明確化し、商品案内を改善することにも繋げています。
例えばステレオについて。
返品の理由をワードクラウドで分析していくと「こもる」というワードが浮かんできました。
「こもる」現象は実はスピーカーではなくテレビ側の設定の問題であるため、案内方法を見直すことで返品率の減少を目指しました。
 

FAQチャットボットや、アンケートのフリーコメントを可視化し、即改善活動へ

そのほか、FAQチャットボットの改善などにも見える化エンジンでの分析を活用しています。
見える化エンジンによって課題が可視化されることで、議論の場を早急に設け、技術者と連携しながらスピード感を持って改善活動に取り組めていると実感しています。
 

一人でも多くの「聞こえ」に課題のある方に自社のスピーカーを知ってもらいたい

最後に今後の課題をお話しします。少しずつ浸透しているとはいえ、「ミライスピーカー」の認知度はまだまだです。今後一人でも多くのお客様に届けるためには、VOCを通してもっとお客様のことを深く知っていく必要があります。
そのためにはどのような分析をすればよいのか、しっかりと考えて分析に取り組んでいきたいです。

日本には1,300万人の、聞こえに課題のある方がいると言われています。
そのような方に一人でも多く「ミライスピーカー」を知っていただき、利用していただきたい。その目標に向かって、見える化エンジンの活用を加速させながら、お客様の声を聞き続けていこうと思います。

2)大阪大学微生物病研究所株式会社

瞬速リサーチのテキストマイニングから得られた知見をもとにした広報活動のアウトプット指標・アウトカム指標策定

続いての登壇は、大阪大学微生物病研究所。
微生物由来で起こる感染症、免疫学やがんなどの研究を行う、大阪大学内に附置された研究所です。BSL(バイオセーフティレベル)3の病原体の実験可能施設を備えているため、新型コロナウィルスが拡大した当時は研究所がパンク状態になるほど活用されたそうです。
そんな研究所の広報活動を、見える化エンジンと瞬速リサーチの両輪で積極的に推進する、企画広報推進室の中込咲綾氏にご講演いただきました。

「何のために、誰のために」が見えづらい、研究所特有の広報の課題を抱えていた

私たち研究所の広報が果たすべき役割は、研究所のミッションである「優れた研究の遂行」に合致する広報、つまり経営機能として研究所の研究活動に資する活動の展開です。
その上で「優れた研究の遂行」を実現できる次世代研究者の育成を目的として、ターゲット設定と施策設定をしています。

この施策設定にあたりテキストマイニングツールを導入した背景には、研究所という機関の特性上、広報のアウトプット指標・アウトカム指標の設定が難しいという課題がありました。ターゲット設定が曖昧で、「何のために、誰のために施策を実施するのか」という問題に陥る傾向にあったのです。
そこで、的確にニーズを把握し、ニーズに応じたアウトプット施策を設定し、アウトカム指標までしっかりと設定することが求められていると考え、見える化エンジンや、瞬速リサーチを活用した分析に着手しました。

瞬速リサーチでの調査+見える化エンジンの分析で、Webサイトの方向性をシフト

では、具体的にどのような活用をしてきたのかご紹介します。私たちは瞬速リサーチで様々な角度から質問を投げかけて声を集めてニーズを把握し、広報施策の検討に役立ててきました。

特に、コロナ禍においては、感染症を研究する機関として何かアクションを起こさなければと考え、情報発信をするWebサイト製作を企画しました。
企画当初はその内容を、「感染症とは何か」といった基礎知識を解説する、いわば教科書のようなものにしようと想定していました。

ところが、ニーズを知るために瞬速リサーチで「新型コロナウィルスについてどんなことを知りたいですか?」と調査し、見える化エンジンで分析してみると、生活者の皆さんの需要は、私たち研究所が研究機関として提供できるウイルスの性質や免疫のメカニズムではなく、PCR検査やワクチンの有効性、感染はどうやって防ぐことができるのかなど、もっと身近な、生活により関わってくる情報を求めていることがわかりました。
つまり、「ウイルスとはなにか」「免疫のメカニズム」など教科書的な情報は必要とはされていない。そんな需要と供給のズレを強く実感する結果となりました。

そこで内容を再検討し、じっくりと読み込むことで理解する教科書のようなサイトではなく、知りたい情報にすぐにアクセスできて部分的に見ても理解できる、Q&A方式のサイトを作る方向へと方向性を変えることに決めました。

 

科学研究に関わる人材育成のための施策に、VOC分析が様々なヒントをくれた

また、「科学研究に関わる人材育成のための施策」へのヒントを得ることを目的とした調査では、PAC様にコンサルティングしていただきながら質問設計を進めていきました。
同調査では、科学の道に進むルーツがどこにあるのか分析し、学生時代に出会う「先生」の要素が大きいと見えてきたことから、高校の教員向けの講演会の必要性に気づくことができました。

また、科学が苦手になった理由の分析では、どこにも分類できない「その他」の回答=理由はないけれどとにかく苦手、が多いことに気づき、科学への興味の間口を広げる施策の重要性を強く感じる結果となりました。そこで、スタンプラリーや携帯ゲームなど、多くの人が気軽に科学に触れられる機会を増やす取り組みを様々に実施しています。

 施策に合わせて、その時々で多様なモニターの声を追っていけることが瞬速リサーチの便利な点だと感じています。今後も様々な調査を実施し、見える化エンジンで分析し、科学と社会のより良いあり方を探していければと思っています。

3)株式会社みずほ銀行

次世代マーケティング戦略 〜「お客さまの“声”×DX」で革新をもたらす〜

最後の登壇は、国内に461、海外に82のネットワークを有する日本を代表するメガバンクの一つ、株式会社みずほ銀行。
「変化の穂先であれ」を企業バリューに据え、「お客さまの立場で考え、誠心誠意行動する」「多様な意見に耳を傾け、協力する」といった行動指針のもと、VOC活用に積極的に取り組んでいます。
その取り組みの概要を、デジタルマーケティング部 VoCデータ解析チームの信田氏にご講演いただきました。

多数の部署ごとに完結し、特定の部署に留まっていた「声」を見える化エンジンで集約化

VOCに関する課題として私たちが抱えていた懸案は大きく2つ。

まず1つ目は「声が特定の部署に留まっていた」こと。
お客様から寄せられる声を多数の部署がそれぞれ蓄積し、それぞれ分析していました。
例えば、A部とB部が所管するサービスについてA部がアンケートを実施した場合、当然ながらB部に関わる声、さらにはC部にも触れるような声が上がってくるケースはあります。
ところがその分析結果はB部、C部には共有されていなかった。それは大きな課題だと感じていました。

また2つ目の課題は、各部署が行っていた分析の手法です。
何百、何千という回答を1つ1つ読んで解釈し、類型化し…といった作業を人力でエクセルなどを使って行っていたため、多大な労力を要していました。

 

このような課題に対して、見える化エンジンを導入することで、各部署に集まる声を一つに集約化し、本部と現場の双方がいつでもリアルタイムに「声」にアクセスできる仕組みを構築しました。
集約化することによって、VOC活用に全行的に取り組む体制が強化されたと感じています。分析に要していた労力に関してもテキストマイニングツールを取り入れることで大幅に省略化できました。

声を商品・サービス向上に活用する「収集・分析・活用」の枠組みの構築

私たちのVOCへの取り組みの全体感を説明します。わかりやすく分類するとステップは以下の3つです。

1つ目のステップは収集。
アンケートやSNS、お電話等様々な接点で寄せられる「お客さまの声」はもちろんですが、それに加えてお客さまとの接点を持っている現場の「行員の声」も同時に吸い上げられるように整備しました。
現在は合計36チャネルほどでデータを収集しており、全てを見える化エンジンに集約しています。

次いで2ステップ目で分析。
その際には何に対する声であるのか、サービスなのか商品なのか接客応対なのか等、声の対象を分類していきます。
さらに誰の発言であるのか、発言者の属性を分類。そして、声の内容が意見であるのか不満であるのかなども分類し、アウトプット〜ダッシュボードで共有できるところまで持っていっています。

そして最も肝になってくるのが3ステップ目の活用です。
この「活用」の枠組みが最も大切だと捉え、私たちは声起点での改善対応を継続できる運用体制の構築に注力しました。

サステナブルな運用体制と定期的な経営との共有で声起点の施策を実行する枠組みを強化

声起点の施策を実行する枠組みをどう強化し、どのような成果につながっていったのかをご紹介します。

 

声起点での改善対応を実行するために、運用体制で工夫した点は大きく2つです。

まず1つ目は、サステナブルな運用体制を構築すること。
同一の内容はグルーピングし、そのまとまりごとに分析することで、今後もその件数推移をモニタリングすることができ、効率化が実現できます。

2つ目は、改善対応を定期的に経営(役員)と共有すること。
声起点で改善するPDCAの場として四半期ごとに部長職級で議論の場を設けています。議論した内容は経営とも共有のうえフォローアップしています。

声活用の徹底実践で、アプリ評価の向上、口座開設数大幅UP、社内カルチャー醸成など様々な成果が

声起点での枠組みを強化し実践した結果、様々な成果を上げることができています。例として3つご紹介します。

まず1つ目は、当行のインターネットバンキングアプリの評価の向上です。
声起点での改善対応を継続し、改善サイクルをスピーディーに回していったことで、リニューアルごとにiOSストアでの評価を上げることができ、業界内では極めて高い評価を獲得しています。

2つ目は、個人口座開設数の大幅増加です。
最大需要期に実施するキャンペーンを見据えたテストマーケティングを行い、そのプロモーションに対する声を徹底的に分析し、改善したうえで目的のキャンペーンを実施した結果、個人口座開設数の大幅増加を実現しました。

3つ目は、社内カルチャー改革による営業部店からの声の発信件数の伸長です。
当初は、見える化エンジン上で声を起票し管理できる「改善カフェ」の機能を使って行員からの声を募っていたのですが、拠点長の承認が必要であるなど枠組みとしてなかなか声を上げづらいシステムになっていました。
改善策として、枠組みは残しつつ、もっと気軽に発信できる仕組みを見える化エンジンで構築しました。1人が発信した声に対して、周りの人が「いいね」ボタンのような「そう思う」ボタンを押せるのがポイントです。「そう思う」が積み重なることで、塊として本部に届くという仕組みになっています。
とにかく行員が気軽に声を上げられる環境づくりに注力した結果、行員の声の発信数が導入時に比べて30倍超にまで伸びました。

「徹底的なお客さま目線」でお客さまを理解し、ビジネスとしての成果につなげていきたい

私たちは今、見える化エンジンをはじめとする次世代マーケティング基盤を活用した、お客さまとのコミュニケーションを始めています。
商品やサービスのリリースに関しては、常にお客さまの声を意識し、お客さまの声を踏まえた改善をしていくことが、結果的に顧客満足度につながっていくと考えています。
ですから、引き続きVOCを重視しながら、マーケティング基盤との融合および連携をはかっていきたいと思っています。

 

「徹底的なお客さま目線」を持ち、お客さまを理解したうえで付加価値を提供し、評価をいただく。それがビジネスとしての成果につながっていく。
こうしたサイクルをあらゆる領域で高速に回転させていくことで、みずほ銀行は日本で最も利用されるリテール金融機関を目指していきたいと考えています。