お知らせ

イベント&セミナー 公開

VOC活用の先進企業2社が講演!『デジタルCXカンファレンス2023 冬』開催アフターレポート

VOC活用の先進企業2社の取り組み事例・講演をレポート!

11年連続シェアNo.1のSaaS型テキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティングは、2023年2月24日に『デジタルCXカンファレンス2023冬』を開催。VOC分析で顧客体験を的確に捉え、商品・サービスの強化、さらには組織力強化にまでつながる取り組みに挑戦する、「見える化エンジン」導入企業2社に登壇いただき、各社より活用事例等をご紹介いただきました。

1)株式会社ドーム

ビジネスプランニング部 甲斐多佳子 氏
コンシューマーマーケティング部 禹貞喜 氏
カスタマー部 小谷紗智子 氏
 

レビューから顧客体験価値を捉えて、商品企画・マーケティング・サービスへ活かすための取り組み

最初に登壇いただいたのは「スポーツを通じて社会を豊かにする」をミッションに掲げ、スポーツプロダクト「アンダーアーマー」の日本総代理店としてアスリートのための商品やサービス提供を行う株式会社ドーム。
顧客起点を体現する組織として組成された委員会「Insight committee」のメンバー、甲斐氏、禹氏、小谷氏に取り組みの背景や事例についてお話しいただきました。
 

取り組みの背景:全社方針「顧客起点」の打ち出しに伴って専門の委員会を創設

以前から社内で顧客の声に向き合う重要性は語られていましたが、2022年に全社方針として「顧客起点」という方針が打ち出されました。それに伴い、顧客起点を体現する組織として、異なる部署からメンバーが集い、同年4月より「Insight committee」がスタート。自分たちの仕事が顧客起点で考えられているのか?という視点を全社員が意識し、業務を遂行していくための、ベースづくりに取り組んでいます。
 
取り組みの中で、私たち企業の提供価値を顧客がどう受け止めているのか、既存保有データから検討したいという強い思いがあり、その分析を目的に見える化エンジンを導入しました。
導入当初から数ヶ月間はプラスアルファ・コンサルティングのコンサルタントと定例ミーティングを設け、実践的なテーマでレポートを作成しながら、分析の技術を身につけること、分析に関して理解を深めることに重点を置いて活動。現在ミーティングの頻度は減りましたが、引き続きサポートとアドバイスをもらいながらレポート作成に取り組んでいます。
 

取り組みの事例:ギャップ分析で見えてきた顧客とのギャップ

ギャップ分析を行うことで提供価値を整理し、顧客とのギャップを見つけていくことに力を入れていますが、当初は分析をすれば簡単にギャップが見つかり、すぐに課題に取り組めるのだと期待していた面がありました。ところが実際に分析をしてみると、むしろ想定通りの結果のほうが多い。これまで感覚的に捉えていたことが、データとして出てきました。
一方で発見もあり、自分たちにとっては当たり前だと思っていたけれど顧客にとってはそうではなかったのだ、と改めて気づかされた点もあります。
その具体的な例を紹介します。

アスリートの高機能ウェア「ベースレイヤー」のレビューに関して、暑い時期に適した「ヒートギア」と、寒い時期に適した「コールドギア」の2つの評価の違いを見ていく分析を行いました。
第一ステップとして、商品の特徴とレビュー上の単語をもとに顧客体験価値を整理。
結果、ヒートギアとコールドギアの発言量を比較すると「温度(涼しい・夏用に購入・暖かい・冬用に購入など)」への発言量に大きな差があることがわかりました。

 

そこで「季節感」に焦点を当てて深掘りしていくと、ヒートギアに関して「冬用」、コールドギアに関して「夏用」という、本来の機能とは反対の発言が出てくることに気づきました。「ヒートギアは冬用だと勘違いしていた」「夏にコールドギアを購入したけれど冬用だった」などの発言です。
社内では当たり前に区分していたけれど、一部の顧客にとっては利用シーズンがわかりづらいということが発見できたので、今後よりわかりやすく訴求していく必要があると考えています。
 
当社ではこうした提供価値の整理に関して、「Insight committee」のメンバーだけでなく商品企画に携わるMDにもヒアリングしながら共に取り組みを進めています。連携しながら分析を共有していくことで、結果が商品訴求にもダイレクトに活用されていきます。

 

私たちが提供する価値を、顧客が実際にどう感じているのか把握し、理解し、業務に活かしていくことで、全社方針である「顧客起点」をまさに実行し始めていると感じています。より網羅性、客観性の高い分析を目指して、見える化エンジンの「瞬速リサーチ」機能もトライアル中です。
会社がより良い商品・サービスを提供していくための指針となるレポートを上げていけるように、今後も取り組んでいきたいと思います。

2)TSIホールディングス

TIP推進Divイノベーション統括部(カンファレンス当時。現:コーポレート本部 経営企画部 FES準備室)
原英里 氏/村松春菜 氏/中島理絵 氏
 

VOCによる持続的成長サイクル 〜CX向上以上にEX向上させる〜

続いて登壇いただいたのは、約60のファッションブランドを全国約850店舗で展開するアパレル企業、TSIホールディングス。
「ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す」をパーパスに掲げ、人と環境のために真の価値を提供する企業、関わるすべての人が幸せになる世界一幸せなファッションカンパニーを目指す同社。VOC、NPSへの取り組みにより顧客満足度向上、組織力強化に尽力するTIP推進Divイノベーション統括部(カンファレンス当時)の原氏、村松氏、中島氏にお話しいただきました。
 

取り組みの背景:時代の変化を行動の推進力へと変えられる、組織・チームを目指して

当社ではお客様の声を聞く活動の一つとして、2015年よりNPSアンケートを実施しています。
未来の予測が難しい現代において求められるのは、外部環境の変化を素早く察知し、変化の波を行動の推進力へと変えることができる人材と組織・チーム。そのため人材育成の重要性は一層高まり、過去の知識や経験にとらわれず、時々の環境に応じて学び続けられる組織・チームを作っていくことが必要になります。そんな時代だからこそVOCから変化の兆しを捉え、お客様の声に向き合い続けることで、働く人のモチベーションや成長につなげたいと期待してNPS活動はスタートしました。
 

VOCを起点としたチーム形成について:村松氏より

自身はもともと一つのブランドの販売スタッフとして、店舗でNPSを通してお客様の声を聞き、それらをもとに店頭における改善アクションを考え実行する仕事をしていました。この経験から、自社のNPS活動を行う他のブランドにも関わり、TSI全体の顧客満足度向上に貢献したいと思い公募で現職に異動しました。
 
今は自身が担当するブランドの3ヶ月分のVOCを見える化エンジンで分析し、資料化して、お客様の声の代弁者としてブランド側に伝える仕事をしています。
見える化エンジンを使うことで、主観や思い込みに偏ることなく、効率的かつ正確にお客様のコメントの特徴を理解することができます。アウトプットは視覚的にもわかりやすく、受け取るブランドの担当者にとっても理解しやすいのではと思います。
 
ただ、当初は担当ブランドに対してお客様の声をどう活かしていくのか、一緒に考えていくことに難しさも感じていました。分析結果の共有会でも、結果に対する私の考えを一方的に話すにとどまり、なかなか次のアクションにつながるような対話に至らなかったのです。
そこでコミュニケーションを見直し、担当ブランドでNPS活動をリードしているメンバーたちと一緒に、共有会の在り方、声をどう活かしていくかを考えていくことにしました。共有会そのものをブランドのリーダーたちと作り上げていったことで、VOC起点のネクストアクションに関する対話、振り返りなどが徐々に行えるようになっています。同時に、担当ブランドのメンバーたちがVOCを起点に、販売チームとして一致団結し始めていることも実感しています。
 

好循環サイクルのための業務改善行動について:中島氏より

自身は先ほど村松からお話しした共有会で取り扱うNPSの結果、集計、分析等を担当していました。当時はすべてを自己流で行っていたため、かなり時間がかかるうえ、分析にも悪戦苦闘していました。
 
現在のチームで改めてVOCに向き合い、メンバーそれぞれの分析手法がチーム内で共有され、分析に対するレビューやフィードバックをもらうことによって、他者の視点を取入れ、より多角的にVOCを捉える事が出来、私自身が効率的かつ効果的に分析業務を進められるようになり、業務改善できたと考えています。
 
見える化エンジンで分析する中でも、マッピングを用いての特徴比較は、多数のブランドを扱う部門で結果を示す際にとても有効です。
「自身のブランドを外からの視点で捉えることができた」「自身のブランドの強みなど気づきが得られた」など、ただ単にVOCに目を通すだけでは発見出来なかったことに気付いたり、なるほどそういう事か!とモヤモヤが晴れて理解が促進したり等、好評の声が上がっています。
私自身の業務改善をすることで、お客様の声を効果的に店舗に届けることができ、それが店舗の改善行動につながり、顧客体験向上にまでつながる。業務改善の好循環サイクルができた一例だと考えています。
 

VOCによる持続的成長サイクルについて:原氏より

私は、2015年からNPSの活動にブランドの販売の現場で携わってきました。コロナ禍が始まり、対面接客の自粛、時短営業などによって売り上げが減少する中で、スタッフのモチベーションは下がり、一時期離職がとても増えました。私にとってはとても辛い時期でした。
 
お客様の「今」の気持ちを知りたいのと同時に、スタッフのモチベーションをどうにか上げたい。VOCを起点とする成長サイクルに更に力を入れたいと考えたのは、そのような背景も大きいです。未来のお客様のために今できることは何か? チーム形成のために今できることは何か?を店長たちとともに考え始めました。
その経験を経てVOCを通して販売員の認知・賞賛、販売員の活動領域を増やしたいと思うようになり、現チーム所属に至ります。
 
業務を通してVOCに向き合っていると、同時にVOCに真摯に向き合うスタッフも見えてきます。真摯に向き合い、行動に移すスタッフや店舗にはしっかり注目し、賞賛活動を行う。すると、スタッフは自身の行動に自信を持ち、さらにお客様のために何ができるのか自主的に考え行動するようになっていきます。
変化の大きな今の時代、顧客に感動を届けるためには、「人」の力が必要です。サービスプロットチェーン実現のためにもVOCが見える化できる見える化エンジンは有効です。
今後も従業員満足度を高め、自発的サービスを磨き上げ、顧客中心の企業文化を築いていく活動に取り組んでいきたいと思います。