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東京電力エナジーパートナー、再春館製薬所が登壇! 『CXカンファレンス2023 夏』開催アフターレポート

VOC活用の先進企業2社の取り組み事例・講演をレポート!

12年連続シェアNo.1(※)のSaaS型テキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティングは、2023年8月4日に『CXカンファレンス2023 夏』を開催。「見える化エンジン」導入企業2社に登壇いただき、自社の取り組みや活用事例を紹介していただきました。同講演でお話しいただいた各社の取り組み事例などをご紹介いたします!
※ 富士キメラ総研2023調べ

1)東京電力エナジーパートナー株式会社 

CX向上に向けたVOC活動

東京電力グループで小売部門を担い、電力を全国(沖縄を除く)で、ガスを関東・中部・近畿で販売する東京電力エナジーパートナー株式会社。CX向上室の高鳥氏・大島氏に、見える化エンジンを使ったVOC分析の事例、改善事例などについてご講演いただきました。

CX向上室 カスタマーリサーチグループ マネージャー 高鳥氏 / 大島氏


2016年に電力が小売全面自由化、翌年には都市ガスも小売全面自由化され、消費者個人が電力会社等を自由に選ぶ時代が進む中、東京電力グループは昨年、20年ぶりに経営理念を刷新しました。「Mission」「Vision」「Value」で構成される経営理念の真髄は「お客さま一人ひとりの期待を超える価値を提供する」こと。目指すのは顧客体験価値(CX)の向上です。
 
今や電気は様々な会社と契約することができます。一般的に、商品を販売する場合、お客さまのニーズや予算をお聴きしたうえで最適と思われるおすすめ商品を提案し、お客さまもその場で購入可否を決めるケースが多いと思います。電力は、目に見えず、品質は同じ、電力という商品そのものには特徴がありません。一方で、実はプランが複雑です。用途・季節・時間帯に応じて最適プランが異なります。また、地域やご契約の規模によっても異なるうえ、私ども旧一般電気事業者は自由化前のプランが残っており、他の小売電気事業と比べオペレーションが複雑です。
このような環境の中、顧客体験価値(CX)の向上を目指し、VOC活動を推進しています。
 

「改善カフェ」を土台としたVOC活動で、お客さまの声を改善活動に繋げる

どのような流れでVOC活動に取り組み、お客さまの声を改善活動に繋げる改善サイクルを回しているのかご紹介します(図1)。まず、当社に日々寄せられる意見・要望・お叱りといった様々な声を見える化エンジンに集約。そこから声を抽出・分析し、ニーズを把握します。分析結果はレポートにまとめ、経営層へ報告。業務改善の推進も行っています。

図1


業務改善が必要と思われる内容は、お客さま接点箇所やCX向上室で「気づきシート」を発行し、主管部へ検討を依頼します。「気づきシート」は、各部室と提案から改善までシステム内で管理を行うことができる見える化エンジンの「改善カフェ」機能を活用しています。
改善率アップに向け、蓄積されているデータを数か月遡り、声のデータを定量化した補足資料を添えて検討を依頼することもあります。
この「改善カフェ」機能は当社の一連のVOC活動を支える土台のような存在として活躍しています。

 
このほか、見える化エンジンの、蓄積データを活用し、様々な分析を行っています。
日々登録される膨大な蓄積データのおかげで、特定期間のデータをキーワードで検索することができるほか、改善策を検討する際、過去からのトレンドを見たり、前年同月で比較ができたりなど、分析が簡単にできるというメリットを感じています。
昨年度から、顧客ニーズや要望を幅広く把握できるよう不満を想起させるキーワードを設定し、「ご不満の声」のデータを抽出。課題解決に向けた対策の一助になればと思い、取り組んでいます。
 
「X(旧Twitter)」検索機能も重宝しています。今年度実施させていただいた料金の見直しについて、実際にお客さまからいただいた声に加え、X(旧Twitter)の反響もとりまとめ経営層へ報告を行いました。X(旧Twitter)はリアルタイムでの登録件数や、書き込み内容の閲覧が可能というメリットがあります。

事例:サービス改善のみならず、サービスの企画・構想にもCX視点を活用

実際の改善事例は多くありますが、サービスの企画構想段階からの取り組み事例を1つご紹介します
新しいサービスに取り組む際、企画・構想段階からVOCを活用し、CX視点を反映させているものです。
具体的な事例としては、「省エネプログラム2022プロジェクト」において、当プログラムを知り、関心を持っていただく手続き前の接点や実際の手続き方法、お客さまがメール等で確認する節電状況、複数のシーンでお客さまとの接点について、カスタマージャーニーを行い、「使いやすさ」「見やすさ」「わかりやすさ」の向上に努めてきました。お客さまの目に触れる一連のチラシやHPへの掲載文章についても、公開前にチェックし、お客さまが見てわかりやすい表現になっているか確認。省エネプログラムへの参加申し込みボタン(入り口)を改善し、「入り口がわからない」という問い合わせの減少に繋げた事例もあります。

 

期待を超える価値の提供を目指して、新たな取り組みも

従来のVOC活動は、カスタマーセンターからのお客さまの声の活用がメインでしたが、Webの浸透により、お客さまの意識や動向も多様化しているため、ニーズの把握も様々な手法で行っています。
新たな取り組みとして、NPS®調査等を開始。自社の「強み」「弱み」を把握し、サービス向上を目指しています。
今後は、お客さまの声の従来の分析手法にAIなどの新たな技術を組み合わせ、分析の幅も広げていきたいと考えています。
 
私どもは、従来のVOC活動に加え、新たな取り組み手法を融合させ、「お客さまにとことん寄り添い、お客さまの期待を超えるサービス」を提供できるよう「進化」を続けてまいります。

※NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。

2)株式会社再春館製薬所

事業品質の要であるお声の活用〜全社員がお声を起点にお客様満足度向上活動を推進〜

続いての登壇は、主力商品である基礎化粧品「ドモホルンリンクル」をはじめ、生薬製剤、機能性表示食品などをダイレクト・テレマーケティングによって販売する株式会社再春館製薬所。「商品価値」、「対応品質」、「お付き合い価値」全てがお客様中心であると捉える同社において重要なVOC分析を担う、お客様満足室の本田氏にVOC活動の変遷をご講演いただきました。
 

VOCの見える化をミッションに、分析精度保つルール作りやマニュアル作成など、全社展開後にすぐ活用できる状態を整備

お客様満足室のVOCに関するミッションは2つ。一つはVOCを見える化すること。もう一つは、それを取り組みとして形にすることです。実際にどのような声が当社に寄せられているのかというと、昨年は数にして33万5279件、そのうち約80%が喜びのお声を占めていました。
 
当社が見える化エンジンを導入したのは2018年6月。
見える化エンジンに取り込むデータとしては主に、①お客様のお声 ②肌や身体の情報 ③満足度。これらのデータを掛け合わせて集計や分析を行います。導入当初の1年間はVOCを全社展開するための準備期間と捉え、情報の精査を丁寧に行なっていきました。
全社展開するにあたり、特に注力したポイントは以下です(図1)。

図1


OCの残し方、入力のルールを策定しても、対応する約400名のお客様ブリーザー(オペレーター)が徹底しなければルール統一は達成できません。ガイドライン資料をいつでも確認できるようにする、データの残し方が誤っている人には丁寧にフィードバックをするなどして、ルール統一を目指しました。
また、目検で集計をしていた時と同レベルの情報精度を保てるように、精度アップにも注力しました。展開後はすぐに活用できるよう、見える化エンジンを使ったことがない社員に協力してもらいながら、わかりにくい場所などを明確にし、独自のマニュアルを作成していきました。
 

ポータルサイトの立ち上げで活用を推進。能動的なメール配信によって閲覧数は5倍に

準備期間を経て、2019年より見える化エンジンの活用を本格的に推進。しかし当時は閲覧数が伸びず、限られた人しか見ていない状況でした。
その課題を解決するために、私たちお客様満足室が積極的に見える化エンジンを使ってお声の分析や資料を展開することを心がけました。さらに、定期的に確認したいお声がある部署に対してメール配信を実施するようにしたところ、閲覧数が100件/月から500件/月まで上昇しました。

お客様満足室 本田氏


この段階に到達したところで、次のステップとして取り組んだのが”お声のポータルサイト”の立ち上げです。分析のサイト(見える化エンジン)と閲覧サイト(お声のポータルサイト)を棲み分け、リアルタイムに誰もがお客様の声を見やすい状態を作ることを目指しました。

お客様の声を毎日経営層に展開し、全社で進化改善の取り組みが生まれる仕掛けづくりを継続

そして今年度より新たな取り組みとして、日々寄せられるお客様の声を毎日経営層に展開することを開始。2023年6月は月間閲覧数が1,200件となり、多くがお声を気にして確認する動きにつながったことが見て取れます。
また、月次レポートやVOCからの改善取り組みを経営層へ報告する「お客様会議」も開始するなど、お客様の声の重要性を全社へ浸透させ、進化改善の取り組みが生まれる仕掛けづくりを継続して行なっています。
 
さらに今年度は年に2回実施している「お客様満足度調査」をもとにした、応対・製品・サービスの品質向上の取り組みを、私たちお客様満足室が主体となって推進しており、その中で見える化エンジンを使った集計や分析も展開することを検討しています。「お客様満足度調査」を分析することは、いわば健康診断のようなものです。お客様の期待度と満足度を5段階でヒアリングし、「継続利用の意思確認」をしていきます。
 
分析においては、「継続利用」に対して影響力の高い項目を洗い出すことから課題を見つける重回帰分析を実施。これらのデータを各部(応対・製品・サービス)に展開し、お客様満足室の各部担当者が会議に参加しながら、アクションプランに関して議論していく流れを作っています。


活用推進に取り組んできた結果、全社的にお客様の声の重要性は浸透しつつあると感じています。今後はこれまで以上に、気になった声を流さず、改善に繋げる取り組みへと繋げるための見える化エンジンへと進化させていく予定です。さらなる活用推進に向けて、今後も様々な取り組みに挑戦していきたいと考えています。