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VOC活用の先進企業3社が講演! ポストコロナ時代に向けた顧客体験価値のあり方を探る 『デジタルCXカンファレンス2022 夏』開催アフターレポート

11年連続シェアNo.1のSaaS型テキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティングは、2022年7月21日に『デジタルCXカンファレンス2022 夏』を開催。
コロナ禍で価値観が目まぐるしく変化し、ますます消費者(顧客)との接点がデジタル化する中で、いかに多様な声の情報から消費者が求める体験価値(CX)を把握し続けていくか。これは企業にとって大きな課題となっています。本カンファレンスでは、顧客の声活用に向けた先進的な取り組みを実践する「見える化エンジン」導入企業3社にご登壇いただき、自社の取り組みや活用事例をご紹介くださいました。
 

プログラム紹介

1.開会挨拶

株式会社プラスアルファ・コンサルティング 取締役 中居 隆

2.「顧客の声」活用 先進企業による講演

1)中日本高速道路株式会社 経営企画部 CS推進課 鈴木拓史 氏

 『高速道路のリスクを早期に検出! 社内への共有と改善の仕組み作り』

2)PHC株式会社 PHC管理部 CS推進課 課長 山本健史朗 氏

 『VOC活動から拡がる未来づくり 〜ZEROからのチャレンジが生んだお客様との懸け橋〜』

3)ネスレ日本株式会社 マーケティング&コミュニケーションズ本部 VOC&SNSマーケティング部 シニアVOCスペシャリスト野々尾 真 氏

 『VOCデータのビジネス反映に向けたオペレーション改革 〜マーケティング担当者の「声の見える化」とリスニング×アスキング VOC活用〜』

3.「見える化エンジン」による「顧客の声」の分析手法ご紹介

株式会社プラスアルファ・コンサルティング 見える化エンジン事業部 カスタマーサクセスグループ グループマネージャー 吉川典仁

4.クロージングトーク

株式会社プラスアルファ・コンサルティング 見える化エンジン事業部 部長 五十嵐智洋

VOC活用の先進企業3社の取り組み事例・講演をレポート!

 

1)中日本高速道路株式会社 経営企画部 CS推進課 鈴木拓史 氏
『高速道路のリスクを早期に検出! 社内への共有と改善の仕組み作り』

「顧客の声」活用による取り組み事例、最初の登壇は、中京圏における高速道路等の管理運営(維持・補修)、建設、当該エリアにおけるサービスエリアなどの運営を担う中日本高速道路株式会社。コールセンターの管理運営、VOCの集計・分析および社内共有を担当するCS推進課の鈴木拓史氏にご講演いただきました。

コロナ禍でSNS分析のニーズが変化。
炎上事案の自動検知・共有システムを構築し、目検の監視作業「工数ゼロ」を実現!


SNS分析自体は、2013年から行っています。取り組む目的は理由としては主に3つ。

  1. お客さまの反応を確認するため
  2. 「安全」に関わるSNS投稿の把握
  3. 「炎上」現象の検知 です。

従来行っていたSNS分析はどちらかというと事業の「事後報告」の面が強かったのですが、コロナ禍が始まり、特に緊急事態宣言で外出自粛の要請がされた頃から、予見できない炎上がTwitterで起きるようになったことをきっかけに、③「炎上」現象の検知を仕組み化するニーズが高まったのです。

炎上検知を始めた当初は人力でした。
私たち担当者がTwitterなどのSNSをブラウザで検索し、目視で確認・必要があれば都度報告していました。当然この方法ではリソースに限界があります。
そこで構築したのが、Twitterで炎上する可能性のある事象の自動検知と自動共有ができるシステム。

具体的には、「見える化エンジン」でリスクワードを含む当社関連ワードを登録し、リツイートが3日で1000件を超えた場合はその内容がネガティブかポジティブかは関係なく「炎上」する可能性があると捉えて扱い、RPAによってそれぞれの担当者に自動でメールが送信される仕組みです。

この仕組みを構築したことで、人力で行なっていた作業は完全にゼロにすることができました。
 
当社では今回ご紹介した「炎上」現象の通知だけでなく、コールセンターなどでいただいたお客さまの声を、専用システムを使用して全社員で共有しています。個人情報を除いて社員全員が閲覧可能となっており、お客さま起点で考える風土を醸成しています。

 

VOCを経営に生かすことと、なによりインフラという事業柄「安全」に関する声を漏らさず検知して即時対応に繋げること。
これらを肝に銘じ、今後はコールセンターに届くVOCの音声認識システムによるテキスト化、YouTubeなど幅広いSNSに投稿される内容の把握など、VOC活用に関する取り組みを加速していければと考えています。

 

 

2)PHC株式会社 PHC管理部 CS推進課 課長 山本健史朗 氏
『VOC活動から拡がる未来づくり 〜ZEROからのチャレンジが生んだお客様との懸け橋〜』

続いて登壇いただいたのは、グローバルヘルスケア企業として事業を展開するPHCホールディングス株式会社の日本における事業子会社である、PHC株式会社。進化を続ける同社のVOC活用を支えるCS推進課の山本健史朗氏にご講演いただきました。

顧客と各事業部の「懸け橋」になるべくVOC活用の原点に戻って実践を積み重ね
社内ポータル「Cotodama」立ち上げに至った

 
VOCに関する取り組みについて改めて見直すと、意見や困りごとに対しての「顧客対応」がどうしても優先され、「活用」には至っていない実態が明らかになりました。また、職能間でVOCの捉え方に温度差があることも見えてきました。

そこで私たちCS推進課は、「顧客とPHCの各事業部の懸け橋になる」というミッションのもと、全社横断的なVOC活用の本格化に乗り出しました。
 
取り組みを開始すると、VOC活用に関して多くの社員が「何のために(WHY)」はスムーズに理解しても、「どのように(HOW)」「何を(WHAT)」がなかなかイメージできないということに気づきました。
そこで、各事業部から蓄積されていた約1万件のVOCを手作業で確認しましたが、部内5名で3か月を要し、結果としてはカテゴリ分けが精いっぱいでした。ここで、VOC情報の分類と質の改善が必要だと痛感しました。
 
この課題を解決すべく、テキストマイニングツールの検討を開始。比較は複数社で行い、検討表も作成ました。
その中でプレゼンもわかりやすく、当社のしたいことが実現できると感じた「見える化エンジン」を導入して顧客の声分析をスタートしていきました。
テキストマイニングにおけるナレッジが豊富であること、「見せること」に優れた共有も他社よりも優れていると感じたことが選定のポイントです。

どのような課題をVOC活用で解決していくべきか目標を立て、分析結果とともに提案をしました。すると各部署から少しずつ理解が得られるようになり、徐々に各事業部とVOC活用に向けたコミュニケーションが増えていったのです。
 
事業部と共にVOC活用の実践を重ね、組織の目指す姿まで描けるようになったところで私たちは次なるステージに向かいました。それはVOC社内ポータル「Cotodama(コトダマ)」の立ち上げです。
お客様相談センターや各事業部に集まる顧客の声、SNS上の投稿などを集約し、分析結果を各事業部に共有する、いわば「顧客との懸け橋」です。
このポータルを、新たな気づきを生む原動力にしてほしいと「Cotodama」といった親しみやすい名前をつけ、愛着を持ってもらえるようにオリジナルロゴも作成しました。
 
そして今「Cotodama」を軸に、アンケートでのVOC収集システム「Miraidane」、CX向上のための「Cocomi-ru」、ナレッジ強化のための「Tsunagaru」と、取り組みを拡大しています。

これまでの私たちのVOC活用を振り返ると、「見える化エンジン」の導入をきっかけに取り組みの可能性は大きく広がりました。
取り組みを進める中で壁が立ちはだかる時もあります。そんな時は一度後ろを振り返り、原点=WHYに戻って考える。この視点を忘れずに、今後も取り組みを進化、発展させていきたいと考えています。

 

3)ネスレ日本株式会社 マーケティング&コミュニケーションズ本部 VOC&SNSマーケティング部 シニアVOCスペシャリスト野々尾 真 氏
『VOCデータのビジネス反映に向けたオペレーション改革 〜マーケティング担当者の「声の見える化」とリスニング×アスキング VOC活用〜』

 最後に登壇したのは、世界186カ国(2022年時点)で商品を販売する世界最大の食品・飲料会社、ネスレの日本法人であるネスレ日本株式会社。攻めのVOC活用へ取り組みを改革した経緯、マーケティングリサーチの活用事例などをVOC&SNSマーケティング部の野々尾真氏にご講演いただきました。

「リスニング×アスキング」の手法でビジネス貢献できる攻めのVOC活用へ

 
私たちVOC&SNSマーケティング部はあらゆるVOCを集約し、社内の各部門マーケティング担当者等に届けることで、サービスや商品の改良、ひいては消費者の喜びにつなげることを役割とし、VOC活用に取り組んできました。
 
コロナ禍で変化する消費者ニーズをどうタイムリーに捉えるかという課題に対し、攻めのVOC活用へオペレーションを改革していきます。

課題として、大きく2つあります。
1つ目は、働き方のフルリモート化に伴うコミュニケーション減少で、マーケティング担当者自身が消費者の現状を把握しづらくなったこと、そして、マーケティング担当者の状況や要望を私たちも汲み取りづらくなったことです。
そんな環境変化に対して「マーケティング担当者の声の見える化」を図りました。
 
2つ目は、コロナ禍で消費者動向が大きく変動したことです。
これに対しては、SNSからの「リスニング」とアンケートによる「アスキング」を掛け合わせたVOC活用に力を入れ始めました。

「リスニング」と「アスキング」の取り組みついて具体的に説明しますと、まず我々は「見える化エンジン」でTwitter等のSNSから生活者の自由なつぶやきからヒントを拾い上げ(リスニング)、それはなぜなのかと考察し、さらに「見える化エンジン」内のネットアンケート機能「瞬速リサーチ」を活用して特定の内容を問いかけ、一歩踏み込んだ深掘り(アスキング)をすることで、解像度を上げていく手法をとっています。
声の背景をタイムリーに把握することで、次のアクションにつなげやすくなったと実感しており、実際に新たな商品の開発・改善やシーズナルイベントの企画等に活用しています。
例えば、コロナ禍で話題となった当社製品「ミロ」に対する声の分析から、大人が飲むには甘いという意見に気づき、甘さひかえめの「ネスレ ミロ オトナの甘さ」開発へとつながりました。
 
こうしたVOC活用によって、商品改善は、やって終わりではなく、その後の反応を確認することも重要だと考えています。行った施策に対して、ギャップが生まれていないか検証するのです。
この取り組みの一環として、確認した結果(その後のお客様の声)の一部をホームページで公開しています。「声を伝えればちゃんと受け止めてもらえる」とお客様に認知していただくことで、また良質なVOCが蓄積していき、よい循環が生まれていくと考えています。
 
VOCと向き合う上で、私たちはVOCを集めて伝えるだけでなく、そこから何かに気づいて考察し、社内に伝え広げていき、最終的にビジネス貢献につなげていくことが非常に大切だと考えています。この点を今後の注力課題に据え、取り組みを続けていきたいと思います。