導入事例

概要

全国からの「組合員の声」を「見える化」し、商品開発担当者100人と共有する基盤を構築

全国からの「組合員の声」を「見える化」し、商品開発担当者100人と共有する基盤を構築

導入前の課題と導入後の成果

日本生活協同組合連合会
日本生活協同組合連合会 ブランド戦略本部ブランドコミュニケーション推進部 組合員の声グループ
炭谷氏/田中氏
  • #カスタマーサービス
  • #VOCグループ
  • #アンケート
  • #コールログ
  • #メール

事例詳細

導入の経緯 導入の経緯

  • コンタクトセンターの声は既存システムで管理しているが、別ルートからの声も増えてきており、様々な声をひとつのデータベースとして管理できていなかった。
  • 商品開発担当者は、毎月、Excelで組合員の声を読んでいたが、単純な質問も多く含まれる。商品開発につながる情報を見分けることが難しかった。
  • 以前導入していたテキストマイニングツールは、1台のPCでしか使えないパッケージ型。商品開発担当者1人1人が気軽に使えず、分析結果の気になる点を深掘りできなかった。


導入後の成果 導入後の成果

  • コンタクトセンター以外にも、複数のルートで声が寄せられてくる。これらの声を一元的なデータベースにし、100人の商品開発担当者が簡単に検索・閲覧できる仕組みの必要性を感じるようになった。


導入後の成果 導入後の成果

  • 組合員の声によるCO・OP商品の開発・改善率 2010年度:32.7% 2011年度:43.6% 2012年度:64.1% 2013年度:80.0% 2014年度:90.7%
  • コンタクトセンター以外の声も、見える化エンジンで簡単に検索できるようになった。
  • 組合員の声の特徴を、見える化エンジンが抽出。有益な情報を直感的に理解できるように
  • クラウド型の見える化エンジンを導入することで、商品開発担当者が調べたいタイミングで、気になるところを深掘り可能に


商品開発に生かしてきた“組合員の声”

商品開発に生かしてきた“組合員の声”

組合員が出資金を出し合って、協同で運営・利用する生活協同組合。地域生協、大学生協など、さまざまな生協があるものの、どの生協でも重視しているのは「組合員の声を大切にして、積極的に採り入れること」だ。

日本生活協同組合連合会は、全国の生協の連合会であり、プライベートブランド「CO・OP商品」を開発している。CO・OP商品の第1号は、1960年発売の「CO・OPバター」。高度成長期、物価高の中で家計を守りたいという組合員の願いからCO・OP商品が生まれた。 漂白された小麦粉が当たり前だった70年代には無漂白の小麦粉を開発。子どもに人参をとらせたいとの親の想いに応え、80年代には人参を使ったジュース「ミックスキャロット」を開発。空き缶から取り外されたプルタブのゴミが問題視された90年代には、現在主流になっているステイオンタブ方式の飲料缶をいち早く採用するなど、「こんな商品が欲しい」「商品をこう改善してほしい」という組合員の声に、真摯に向き合って応えてきた。

現在も組合員の中からモニターを募り、会場テスト・在宅テスト・グループインタビュー・アンケート調査などを定期的に実施。そうして集めた組合員の声を、商品開発に役立てている。

「例えばグループインタビューは、組合員6人ほどをお呼びして、だいたい月2回実施しています。3時間くらいで何品か試食して、感想や家庭での使い方などを語っていただいています。会場テストの頻度は週1~2回以上。組合員を集めて、試食して評価していただきます。 アンケートは、月1~2回、全国の組合員さんに回答いただいています。」(田中氏)

このように声を聴く調査の件数・手法は広げてきたが、もうひとつの課題は、組合員サービスセンター(コンタクトセンター)等に集まってくる声をどう活かすか、ということだった。

コンタクトセンターへの問い合わせを商品開発担当者がエクセルで全件読み込み

日本生活協同組合連合会は、2010年から、あらためて、組合員の声を活かす取り組みを強化している。 商品開発担当者は毎月1回、お問い合わせシステムに登録された前月のデータに目を通すことを義務付けることになった。

実際に運用を始めてみると、商品開発担当者が多種多様な声を読んで活かすことの難しさが明らかになってきた。運用方法は、お問い合わせシステムを使って検索・出力した組合員の声をExcelに貼り付けて部門別にまとめ、各担当者がそれに目を通すというやり方だ。組合員の声の件数は、多い担当では1カ月で200件前後になる。その気になれば数時間ほどで読み込めたが、「これくらいやって当たり前」と快く対応する担当者がいる一方、様々な業務を抱える中で「開発改善につながる声が見つかりにくい」と不満を漏らす担当者もいたようだ。

その理由は、Excelを見たときの分かりづらさだ。パッと見ただけでは概要がつかめず、その中身も「産地はどこ?」「どんな成分が入っていますか?」といった単純な問い合わせも多く、有用な情報を見つけづらかった。炭谷氏と田中氏は、組合員の声をもっと効率よく理解・分析できるシステムを導入する必要性を感じるようになったという。

クラウド型で知りたいときにすぐにアクセス、すぐに深掘り。「見える化エンジン」で情報共有が簡単に

そこで両氏が目を付けたのは、テキストデータを分析するテキストマイニングツール。試しにある会社のツールを導入してみたものの、 思ったような成果を得られなかったと炭谷氏は言う。

「以前に導入していたのは、1台のPCにインストールして利用するタイプのテキストマイニングツールでした。 それを使ってデータ分析をしても、紙に印刷するか、基本的な分析結果をExcelにまとめて共有することになります。商品開発担当者にとっては、自分の気が向いたときにすぐ確認できませんし、『ここをもっと詳しく調べたい』と思っても元になったデータを参照できません。 分析結果の共有が上手くいかず、『データベース化するだけでは駄目。みんなが共有しやすい仕組みをつくることが大事』と思い知らされましたね」(炭谷氏)

そんな反省を踏まえ、あらためて導入したのがプラスアルファ・コンサルティングの提供するテキストマイニングツール「見える化エンジン」だった。

以前のツールがパッケージ提供されて利用するタイプだったのに対して、見える化エンジンはクラウド型。組織内の各担当者がブラウザを使って、好きなときに分析結果のレポートページにアクセスできるようになった。「この声について詳しく知りたい」と思ったときに、 元データを参照して深掘りできるところも以前と比べて改善できたところだ。

そして何より、見える化エンジンは、組合員の声がまとめられたテキストを分析して特徴を抽出。その結果を分かりやすく視覚化してくれる。商品開発担当者が直感的に組合員の声を理解できるようになったと炭谷氏は導入効果を感じている。

商品開発担当者は100人。システムに詳しくない人も直感的に操作できる分かりやすさが大きな魅力

さらに炭谷氏は、説明書がなくても直感的に操作できるところが、「見える化エンジン」の魅力だと評価している。

「『商品開発やマーケティング、VOC(顧客の声)推進の担当者など、数人の専門家が使えれば問題ない』と考える企業もあるかもしれませんが、われわれには商品開発担当者が100人もいます。その中にはシステムに詳しい人もいれば、苦手な人もいます。 たとえ苦手な人であっても、いちいち説明書を読まなくても直感的に使えるというのは、声の共有を図る上で、すごく大切なことだと感じています。 また、親しみやすいデザインになっているところも、使う人を選ばないツールにするための工夫なんだと思いました」(炭谷氏)

一方、田中氏は見える化エンジンの性能面について言及。「導入して2年経っていませんが、その間にデータ処理の速度はかなり進歩しています。さらに、こちらが『こんな機能が欲しい』と感じた機能を、タイムリーに追加してもらえるのもうれしいところ。要望を伝えれば、親身に対応してもらえます。欲しい機能が今なくても、1年後にはあるだろうという期待感がありますね」と語っている。

問い合わせ件数の推移を時系列でグラフ化するなど、Excelよりも簡単・スピーディー

見える化エンジンを導入したことで、組合員の声の共有をしやすくなった。課題として感じていた組合員の声を定量的に把握することについても、改善が見られたと炭谷氏は感じている。

「例えば、冬場になると『オリーブオイルが白くなって固まってしまった』という問い合わせが増えます。以前は『ほんとに冬に増えてるのかな』と感じたとき、数字で確認しようとすると、Exelに出力して集計しないといけませんでした。見える化エンジン導入後は、時系列のグラフで見ると、季節別の問い合わせ件数の推移を一目で把握できるようになりました。 また、商品改善後に問い合わせが減少したかどうか、前年の件数と比較することですぐに効果を把握できるようになりました」(炭谷氏)

そのように、これまで抱えていた課題を解決する目処が立ったことで、今度は、記録される情報の“質”自体を向上するところに力を入れていきたいという。

「組合員サービスセンターに電話で入ってくる問い合わせには、商品の賞味期限や成分など、単純な質問も多くあります。 そうした単純な質問をそのまま商品開発に役立てるのは難しいものの、『賞味期限が過ぎたけれど、まだ食べられるか』という質問が多いのなら、『1製品当たりの量が多くて食べきれないのか』『料理法のレパートリーが少なくて持てあましているのか』などと背景が見えれば、次の打ち手の検討につながります。記録を読んだときに背景まで理解できるよう、聴き取り・書き取りのルールを整備するとともに、応対担当の研修も行っています。その積み重ねで、より、くらしの声を深く理解できるようにしていきたいですね」(炭谷氏)

組合員の声による商品の開発・改善。2010年度には30%だったが、2014年度は90%に

このように、組合員の声を積極的に商品の開発・改善に採り入れている日本生活協同組合連合会。組合員の声による商品の開発改善率は、2014年度、90%を超えたそうだ。

「2010年度は32.7%、2011年度は43.6%、2012年度は64.1%、2013年度は80.0%、2014年度は90.7%、声による商品の開発・改善を行うことができました。見える化エンジンの導入は、2012年度のこと。組合員の声を商品開発担当者に分かりやすく伝えることで、より多くの声を反映する一助になったと思います。 最近に限ってみても、『カリウムがどのくらい含まれているか、パッケージに表示してほしい』という組合員の声に応えて、問い合わせの多い商品について表示を始めるなど、さまざまな改善を進めてきました。 2015年度は商品開発の進め方自体を見直して、組合員の声を必ず採り入れていくようにすることで、反映率100%を目指しています」(田中氏)

組合員の声に目を通す頻度、月1での確認を週1、1日1度へと増やしていきたい

今後の展望について、組合員の声を毎月1回チェックしてもらうことを習慣付けていくことはもちろん、毎週、もっといえば毎日、見える化エンジンで組合員の声を確認してもらえるようにしたいと炭谷氏と田中氏は語っている。

「見える化エンジンのユーザー会に参加して、他社の活用事例を聞いたことで『1カ月に1度ではなく、鮮度のいい声をすぐに現場に届ける』ことの重要性を感じるようになりました。今後は、ただ商品開発担当者に見にきてもらうだけでなく、われわれが毎週レポートを作って発信していくことで、もっと新鮮な声を提供できるようになっていきたいです」(炭谷氏)

「これまでは毎月1回、見える化エンジンを更新して月次のデータを掲載するだけでしたが、日次で更新して新鮮な声を発信する取り組みを2015年3月から始めました。これから商品開発担当者の意見にも耳を傾けながら、よりスピーディーに、より役に立つやり方で組合員の声を届けられるように努めていくつもりです」(田中氏)

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