導入事例

概要

全国約800店舗とECに集まる「お客様の声」を複合的に捉えて改善施策につなげ、企業の体験価値を再定義

全国約800店舗とECに集まる「お客様の声」を複合的に捉えて改善施策につなげ、企業の体験価値を再定義

ブックオフコーポレーション株式会社
カスタマーコミュニケーション部 CS統括グループ VOC推進チーム
部長 菊谷一郎氏 / チーム長(当時) 竈渕留梨子氏 / チーム長(現) 菊池 孝規氏 / 中山和美氏 / 新恵理子氏 ※所属名等は取材当時
  • #VOCグループ
  • #CS
  • #企画・開発
  • #カスタマーサポート
  • #コールログ
  • #アンケート
  • #レビュー
  • #メール
  • #サービス・流通

事例詳細

課題・背景 課題・背景

  • カスタマーセンター運営の合間で月次報告を実施。リソースが不足していたため集計・レポーティングだけで毎月1週間ほどかかっていた
  • 目検での集計が精一杯で、本来力を入れるべき分析や提案に時間を割くことができず、分析の質・提案数が上げられなかった
  • 店舗とネットをまたいで利用されるお客様が増えたため、データを統合してシームレスに捉えた分析による顧客理解が求められた

取り組み 取り組み

  • メールや電話などの問い合わせログ、Googleマップの店舗レビューを集計・分析し、月次レポートを発信
  • NPSアンケートを分析し、前回レポートと比較する形で年数回レポートを共有
  • 「1分で情報を把握できるボリューム」を意識したメールレポートを作成・配信

成果 成果

  • 1週間かかっていたレポート作成が3日で作成可能に
  • レポートメールの開封率が1年間で約16%から29%までアップ
  • 店舗・EC問わず、不具合や使いづらい点、ニーズの発見がしやすくなり、改善施策に繋がっている
  • 発送サービスに関する問い合わせ増加を検知し、理由を分析。改善施策として説明文を変更した結果、60件あった問い合わせが翌月には1件、翌々月には0件に
  • レビュー評価ごとの分析から、「推奨・中立・批判」への施策は実はそれぞれ異なると根拠を持って示し、施策の優先度付けに活用
リユースショップチェーンのパイオニア的企業、ブックオフコーポレーションが推進するVOC活用

リユースショップチェーンのパイオニア的企業、ブックオフコーポレーションが推進するVOC活用

「ブックオフ」の屋号で全国に約800店舗のリユースショップを展開するブックオフコーポレーション株式会社は1991年創立。リユース業界のパイオニア的存在として知られている。近年は、従来のCDや本の中古販売店のみならず、衣類・家電・ホビー系商品等も扱う大型店舗を増やして事業を拡大。同時に、ECサイト「ブックオフ公式オンラインストア」も展開。
店舗とネット販売を並行する同社に寄せられるVOCは多岐に渡り、その数も膨大。見える化エンジンを使い、より有用なVOC活用を目指すべく2020年に発足したカスタマーコミュニケーション部VOC推進チームのメンバーに、お話をうかがった。

部門横断でお客様の声を扱うことで分析の質を向上し、声をもとにした改善提案に繋げるために、VOC推進チームが発足。 1週間かかっていたレポーティングの効率化も実現

− VOC推進チームが発足する以前は、VOCをどのように活用していましたか?


竈渕氏:VOCをネット販売とネット買取で横断して確認するチームがなく、それぞれの顧客対応チームがそれぞれカスタマーセンター(以下CS)運営の合間でVOCを取りまとめ、分析・集計・レポーティング作業も担当していました。その結果、ツールを使わず目視でいただいたお声をチェックしていくためとても時間がかかり、月次報告のレポートを作成するのに毎月1週間ほど割かなければなりませんでした。
分析の内容も顧客からの問い合わせをカテゴリー別に分類・集計し、数の増減を確認できるようにするので精一杯。お客様の声をもとにした提案の量・質が上がらず、施策へ移せないことも多い状況でした。

− そんな中でVOCの専属チームが組成されたのはなぜですか?


竈渕氏:先ほどのような工数の課題を感じる一方で、本来であればVOCの一つ一つを紐解いて、それぞれの声の背景にはお客様のどのような思いが隠れているのか、じっくりと深掘りする必要があると感じていました。
また、2007年にECサイトを開始した当初は店舗とECのお客様を分けて考えていましたが、今では実店舗とネットをまたいで利用されるお客様が増えました。アプリ経由でネット注文した商品を実店舗で受け取るお客様が7割以上になるほどです。そのため、ネットと店舗をシームレスに捉え、横断で分析していく必要もある。この課題を解消するにはVOCの集計・分析を行なう専属チームが不可欠であるという考えから、VOC推進チームが発足しました。

 

− チーム発足に際してテキストマイニングを導入しようと考えたのはなぜですか?


竈渕氏:当社では、多い月で2万件を超える数のVOCが集まります。これをきちんと俯瞰して、大切な声を漏らさずに見ていかなければならないと考えた時、分析の効率化と質の向上の両面でツールが不可欠でした。数の推移を追うばかりでなく、もっと生の声を分析し、現場担当者に届けて活用につなげていきたい。そのために、本格的にVOC推進チームが発足した際には、以前からVOC活用が実現できそうだと考えていたテキストマイニングを導入したいと考えました。

機能が豊富でアウトプットが掴みやすく、直観的な操作性も良い。「わかりやすさ」が決め手で見える化エンジンを導入

−テキストマイニングツールの中で「見える化エンジン」を選んだ決め手を教えてください。


中山氏:見える化エンジンと他1社、2つのツールを比較検討したのですが、見える化エンジンは最初に説明を聞いた時に「わかりやすい」と感じました。
何がわかりやすいのかと言うと、まず一つはアウトプットの見た目や表現です。他社製品に比べて分析の種類が豊富で、クロス分析などの自由度も高く、推移変化が見やすい点が魅力でした。
そして、もう一つのわかりやすさは操作性です。「こんな分析をしたいな」と考えた時に、分析機能やボタンの名前から、どの機能を使えばいいのかわかりやすいことも決め手となりました。

新氏:導入後はサポートの手厚さも実感しています。特に、チャットでの問い合わせは重宝しています。スクリーンショット等の画像を添付して質問できるのは本当に便利。返答も驚くほど早く、どんな体制で対応されているのかいつも気になっています(笑)

問い合わせログ・店舗レビュー・NPSアンケートなど、データを統合して分析

− 「見える化エンジン」を使って、普段どのようなデータを分析していますか?


中山氏:分析するデータソースは主に以下の3つです。

  1. ネット販売・ネット買取の問い合わせログ(問い合わせ手段はメール・電話)
  2. Googleマップの店舗レビュー
  3. NPSアンケート(店舗およびネット上で実施)


①と②は月に1回の月次報告として、③は年に数回の頻度でそれぞれレポーティングしています。
分析結果を共有する際には、見える化エンジンの「気づきポータル」や「メールレポート機能」を活用しています。

高評価は低評価の裏返しではない。店舗レビューの分析で、目先の課題に囚われずに施策の優先度を判断できる

−Googleマップの店舗レビューは具体的にどのように分析されているのでしょうか?


新氏:まず、見える化エンジンを介してレビューを一括で収集し、このようにさまざまなアウトプットで可視化しています。

分析例①:Googleレビュー分析例

 例えば、レビュー上にどのようなカテゴリーの声が当月に多く寄せられたのか=何を顧客が重要視していたのかをグラフで掲示しています。
【分析例1】の左上「レビュー内容の構成比」が該当していて、これを少しマスキングしたものが【分析例②】です。

分析例②:店舗レビュー内容の構成比 ※イメージ

ここからセール時期は「接客」が増える、コロナの感染状況によって「立ち読み」や「コロナ対策」に関する声が増えるなど、全体の傾向を掴むのが狙い。
レビュー内容で、何について言及されているのかグラフ化するには、見える化エンジンのデータを任意でグループ分けできる機能が便利です。


新氏:さらに、5段階の評価とレビューを掛け合わせたかたちで分析をしています。私たちは星の数に応じて「星1〜2=批判」「星3=中立」「星4〜5=推奨」と位置付けしているのですが、批判・中立・推奨それぞれにどのようなワードが紐づき、どのような特徴があるのか、マッピングで比較しています。
レビューそのものはどうしても似たような声が多くなりがちで差異を把握しづらいのですが、件数ではなく、他の軸と比較して特徴的な話題を知ることができる「特徴比較機能」はとても役に立っています。

菊谷氏:このように見比べていくのはVOCの受け止め方、考え方の整理にとても役に立っていると感じています。
例えば【分析例③】のアウトプット。これは当社の平常時期のレビューを批判・中立・推奨で比較し、話題の傾向を可視化した結果です。

分析例③:店舗レビューの比較マップ


批判者に多いのは「店員」や「態度」といった接客に関する声なのがわかります。一方で推奨者の関心は「品揃え」や「掘り出し物」といった商品の豊富さによる部分が大きいとわかります。中立者は「駐車場」など環境面の話題があがりがちです。
ともすると、推奨と批判は裏返しであると考えがちですが、マッピングの比較を見ると、実はそうではないということに気づくのです。

この結果に当てはめると、推奨者が重要視しているポイントは必ずしも批判者の発言に特徴的な「接客」だけではないということ。買取を強化して、より売り場を充実させていくことが実は推奨=ファンを増やすことになるが、売り場さえ充実すれば批判者も減らせるわけでない。

  • 批判者の関心事である、接客を改善し失点を減らす
  • 中立者の関心事である、環境整備で加点する
  • 推奨者の関心事である、売り場の充実でファン化する

という改善構造を全体的に意識する必要があるというわけです。
批判者を減らすためにどう改善するか?ボリュームゾーンでもある中立者にどうファンになってもらうか?より伸ばすべき推奨者の評価点はどこか?というヒントをお客様の声から読み解いていくことが大切なのです。
数字の増減ではどうしても目先の課題に囚われてしまいそうになりますが、こうしたお客様の声分析は大枠を捉え、優先度をつけて動き出すためにとても有効だと感じています。


「1分で情報を把握できるボリューム」でメールレポートを配信。開封率は1年間で16%→29%までUP

 − 分析結果を共有するうえで工夫している点はありますか?


中山氏:分析結果は、会議の場で共有するだけでなく、毎月メールレポートで配信しています。

ネット販売・ネット買取の問い合わせ分析に関するメールレポート例


多忙な担当者たちに、メールを開いてすぐに傾向やポイントをつかんでもらえるように工夫しています。レポート1通につきグラフは多くても3つまでにとどめて「1分で情報を把握できるボリューム」を心がけています。

新氏:具体的には、

  1. まず、グラフやマッピングなどを用いてVOC全体の傾向を見せます。
  2. 次に、注目してもらいたい内容を深掘りした詳細を載せる。
  3. 最後に、顧客の「感情」が伝わるような、より原文に近い内容を伝える

ようにしています。見える化エンジンは年代や性別、感情に基づいたアバターが表示されるので、視覚的にわかりやすく、伝わりやすいと感じています。

− レポート内容の工夫で、社内の反応に変化はありましたか?


竈渕氏:VOCと聞くと、担当者は「=クレーム」だと受け止めがちで、あまり見たがらないものです。いかに興味を持って見てもらえるか?というのもVOC推進チームの課題だと捉えて1年近く試行錯誤してきました。
その結果、メールの開封率は当初の約16%から、直近で29%まで上がってきています。

顧客の声から、店舗・EC問わず、顧客体験を向上。 店舗の環境改善、ECサイトの案内文改良により問い合わせが減少した例も

− ネット販売・ネット買取の問い合わせデータの分析で、取り組みに活用された例を教えてください。


中山氏:例えばある時期に「会員登録・ログイン」カテゴリーで、特に「パスワードの再設定がうまくできない」という問い合わせが増えたので調査し、原因を突き止めて対処したことで問い合わせの減少につながったことがありました。

改善例①

同じようにネット買取の問い合わせで「e発送」(コンビニ・郵便局への持ち込み発送)に関する問い合わせが増加し、なかでも申し込み時に「e発送を選択したことに気づかなかった・申し込み間違い」という声が多かったため調査をしたところ、サイト上の案内がお客様にとっては理解しづらい文言になっていると判明。
文言を変更した結果、60件の問い合わせが翌月には1件、翌々月には0件になりました。

改善例②

新氏:問い合わせ減少の他にも、不具合やニーズの発見にVOC分析は非常に有効です。店舗の改善の点では駐車場などの環境改善にも直結しています。
Googleマップの店舗レビュー分析を分析した際、「駐車場の地面がでこぼこしている」といった声があったので実際に調査をして改修を行いました。その後、同じ店舗に対して「駐車場がキレイになっていた」というレビューが付き、より快適な顧客体験につなげられたと感じました。

改善例③

声の共有で、社内からも施策の提案が聞こえてくるように。 今後もお客様の目線で考えるきっかけやヒントになるようなVOC活用を推進したい

− VOC推進チームが発足し、VOC活用を強化して社内はどう変わってきましたか?


中山氏:まず、目先の課題であった工数について。1カテゴリに1週間かかっていたレポート作成は、3日で作成可能になりました。
さらに、メールレポートの開封率増加に伴い、レポートで取り上げた内容に関する担当部署からのリアクションも少しずつ増えてきています。
例えば、本やCDを売った全額が寄付になる「キモチと。」という当社のサービスに関するVOCを配信した後に、担当者が配信内容を参考に関連ページの表現見直しを検討し始め、ECサイトがより充実するきっかけになりました。このように、顧客の声を共有することで、新たな施策に繋がり始めているのは喜ばしいことです。

 


− VOC活用における今後の展望をお聞かせください。


竈渕氏:ブックオフグループのミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」の実現には、サービスの企画段階から顧客の声をしっかりと意識し、企画実施後も顧客の反響を踏まえた振り返りが必要です。そのためには今以上にVOCを活用できる仕組みづくりを、見える化エンジンを活用しながら構築していかなければと考えています。
より発信の規模を広げ、将来的には全社配信することが目標です。自分たちの目線だけでなく、お客様の目線で考えるきっかけやヒントになるようなVOC活用に、今後も取り組んでいきます。

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