導入事例

概要

よりよいものづくりへの貢献を目的に、相談センターに膨大に寄せられる月間約2万件の声を分析。
共有~アクションのスピードを重視し、着実に改善する環境作りを推進。

よりよいものづくりへの貢献を目的に、相談センターに膨大に寄せられる月間約2万件の声を分析。
共有~アクションのスピードを重視し、着実に改善する環境作りを推進。

株式会社バンダイ
プロダクトマネジメント部 相談センターチーム 鈴木里々歌氏
  • #リサーチ
  • #経営戦略
  • #アンケート
  • #マーケティング
  • #カスタマーサービス
  • #品質保証

事例詳細

課題・背景 課題・背景

  • 従来のBIツールでは不具合の詳細を把握するために、内容を一つ一つ読み込む必要があり、手間と工数の問題により、十分な分析ができなかった。
  • VOCを商品やサービスの改善に繋げるために、VOC活動をより充実させる必要があった。

取り組み 取り組み

  • 月間約2万件の万件の問い合わせデータを見える化エンジンに入れて分析。社内ポータルで常に問い合わせの変動を確認できる仕組みを整備。
  • 不具合の詳細を素早く把握し、Q&Aの拡充やアナウンス強化などの改善アクションを実行。

成果 成果

  • 問い合わせの変化・予兆を掴みやすくなったことで、想定される対応をいち早く関連部門へ連携し、問い合わせ内容の分析からQ&Aを拡充し、問い合わせ減少を実現。
  • アウトプットが見やすく、わかりやすくなった結果、社内ポータルのアクセス数が増加。


見える化エンジンで声活用の効率化・高度化を目指し、
スピーディーに改善のアクションに繋げられる仕組みを構築。

1950年創業、歴史ある日本の玩具メーカーとして名を馳せる株式会社バンダイ。子ども向けのおもちゃのみならず、フィギュア、カード、カプセルトイ、菓子・食品、アパレル、生活用品など幅広い領域で商品・サービスを展開している。扱う商品アイテム、キャラクター数が非常に多く、商品への問い合わせの種類も多岐にわたる。お客様相談センター(以下、相談センター)のマネジメントを担い、VOC活動を通して問い合わせ対応の効率化および声の活用促進をはかる、プロダクトマネジメント部 相談センターチームに、見える化エンジン導入の背景や活用事例をうかがった。

膨大な種類の商品に寄せられる、月間約2万件の問い合わせ。
膨大な量の商品データや既存のBIツールとの「連携性の高さ」が見える化エンジンに決めた最大の理由

− 見える化エンジンを導入いただいた背景を教えて下さい。

これまで定量データを確認するBIツールのみを使用していたのですが、商品の不具合がどの部分にあるのか詳細を確認するには、1件ずつテキストを読み込まなければわからないという状況でした。
当社はとにかくアイテム数が多く、年間で1万8000点ほどの取り扱いがあり、問い合わせ件数は1ヶ月で約2万件です。アイテム数の多さに加えて、扱っているキャラクター数も約380種類と多岐にわたるため、問い合わせを受けた際どこに注目すべきか見えにくいのが、私たちの相談センターの特性でもあります。
そのため、不具合の症状の分類や内容の把握に膨大な手間と時間がかかってしまうことが課題としてありました。
そこで昨年、改めて体制を整えようと、テキストマイニングの導入を決めたのです。


− どのような点を重視して選定し、見える化エンジンに決めましたか?

見える化エンジンに決めた最大の理由はデータ連携のしやすさです。アイテム数も問い合わせ数も多いので、それらのデータとの連携がスムーズであることは必須条件でした。
また、見える化エンジンはサポートが手厚いと評判だったこともあります。実際に導入時~現在まで、丁寧にサポートしてくださり、課題を伝えると提案をくださることも多く、とても助かっています。

社内ポータルで問い合わせ件数の週次ランキングを常に表示。
変動をキャッチしやすく、着目すべき点を掴みやすいと社内でも好評。

− 見える化エンジンを使った分析の主な目的を教えてください。

メインとなる目的は、お客様から受けた事象(主に不具合に関する問い合わせ)の内容を可視化して正しく把握することです。一部、リスクヘッジ目的でSNS分析にも活用しています。
問い合わせを一つ一つ読み込む必要があったためにカバーしきれていなかったところまで、見える化エンジンを活用することで内容を把握し、生産部門にフィードバックして、商品やサービスの改良・改善につなげていくことがミッションです。

− 現時点で対象としているデータソースについて教えてください。

データソースとなるのは、コールログです。相談センターで受け付ける割合としては、電話が3割、メールが7割。
“不具合の可視化”に特化しているため、あえて「感情」よりも「事象」そのものに注目して分析しています。
そのため、コールログの残し方も、お客様の発言のうち、「どこに不具合があるのか?」がきちんと記載されるシステムになっています。

 


− 分析結果の共有はどのように行っていますか?

相談センターが管理している社内ポータル「お客様の声ポータル」で全社に共有しています。トップページに従来のBIツールと見える化エンジン、両方の入り口をそれぞれ設けて、行き来しながらどちらも見られるようにしています。
定量データとして出荷数や価格などをBIツールで把握し、ある程度の概要を把握しているという前提で、注目したい話題に関する顧客の声を見える化エンジンで確認・深堀りするという使い方をしている人が多いようです。


− よく使う分析機能はございますか?

ポータル内でトップに表示している「ワードクラウド」と「マッピング」の機能はとても重宝しています。
また、週次での商品別受付ランキングなど、特定の期間で区切った受付ランキングも常にみられるようにしています。この機能はどのようなアイテムにどのような問い合わせが多く来ているのか、パッと見て直感的に掴むことができるので非常に便利です。
 
製造している商品の種類によって事業部が異なるため、ランキングは事業部ごとに当該事象を絞り込み、タブを分けています。基本的な使い方に関しては独自にマニュアルも作成しており、閲覧者の理解を深められるように工夫しています。
自部門のタブを開くだけで、自分たちの担当する商品に何が起きているのか視覚的に捉えることができるため、まずはどこを見るべきかすぐに確認できると、事業部からも好評です。


従来のBIツールでも商品等のランキングは見られますが、見える化エンジンの週次で集計や発言のランキングを見る機能は商品の表示に色付けができるので、気になる商品の動きを追いやすく、より見やすいと感じています。
これまでランキングを示されてもどう見ればよいのかわからなかったという人たちからも、この週次ランキングなら変動を把握しやすく、どのあたりに着目して見ていけばよいのかわかりやすいという声が上がっています。



また、分析結果の中で注目すべき点があった際、見える化エンジンではクリック操作で内容を読み込んでいくことができ、非常に読みやすく表示されます。こうしたUI面も、事業部が能動的にテキストを読むようになってきたことに繋がっていると感じています。

− 分析の流れ、ポータルの更新スケジュールはどのようになっていますか?

分析の流れとしては、日次で従来のBIツールに入ったデータがAPI連携され、翌朝10時には最新の週次ランキングがポータルで見られる状態になっています。その内容を確認し、必要な部分に対して問い合わせの内容を深掘りし、それぞれに対応していくという流れを繰り返しています。

− ポータル以外に分析結果を共有する場も設定していますか?

常時データを確認できるポータル以外に、月次でVOC連絡会も実施しています。
連絡会のメンバーは全生産部門に加え、私たち相談センターチームを含むプロダクトマネジメント部です。
以前はエクセルを使って手作業でグラフなどを作ってフィードバックしていたので、手間がかかっていましたが、今は見える化エンジンのアウトプットが連絡会でもとても役立っています。分析で見えてきた問い合わせの動きなどを報告し、それに対するアクションなどを継続的にメンバーで共有しています。

Q&Aの拡充やアナウンスの強化によって
お客様が自己解決できるようになる問い合わせも多い。
だからこそ分析を効率化し、改善アクションを増やしていく必要がある。

− 見える化エンジンでどのような分析をし、施策や取り組みに繋げているのでしょうか?

当社のあらゆる商品に問い合わせが来る中で、圧倒的に問い合わせ件数が多いのは、動くおもちゃ系の商品です。こちらも小さなカプセルトイから大がかりなおもちゃまで、とにかく点数が多いです。
そういった商品は問い合わせが多い一方で、アナウンスやQ&Aを少し補足すれば解決する案件も少なくないという特徴があります。
だからこそ、急増した問い合わせの内容や背景、あるいは説明不足な点がどこにあるのか?をタイムリー把握し、早急に対応して、一つ一つ素早く改善していくことが求められます。
 

− 分析がアクションに繋がった実例を教えてください。

ライトが点滅しながら音が鳴るおもちゃに関して、多くの問い合わせがあった時のことです。
見える化エンジンの導入前は、問い合わせ内容の分類を見て「動作に異常がある」ということはすぐにわかっても、「動作のどのような異常に対してこれほど多くの問い合わせが来ているのか?」については、一つ一つの申し出内容を読み込まなければ把握できませんでした。
ところが、見える化エンジンを使ってワードクラウドやマッピングでアウトプットすると、「音」「回転しない」「光らない」など注目すべき点が視覚的に浮かび上がり、どのような現象に対して問い合わせが多発しているのかがすぐに見えてきました。
 
この分析結果からの改善アクションとして、Q&Aに動画を追加することで、お客様自身で事象を解決できるよう促しました。

実際に動画で補足したことで、問い合わせ件数を減らすことができています。
同件に限らず、分析の結果を確実に次のアクションに繋げ、それによって問い合わせ件数が減少したのかまでモニタリングすることが重要です。
見える化エンジンのアウトプットを活用すると「何が起きていて、それはなぜか」を伝えやすいので、関連部門もより具体的に事象を把握して対応に繋げることができるようになってきたと実感しています。

− 見える化エンジンを導入したことで、社内での連携、VOCへの意識などに変化はありましたか?

まず、商品の問い合わせの変動を予測しやすくなったことで、対応が長期化しそうだ、あるいは返品交換が発生しそうだといった、今後必要になる対応を想定しやすくなり、関連部門に対して早めに掛け合えるようになったため、連携がスムーズになったと感じています。
 
また、VOCへの意識の変化としては、WEBポータルのアクセス数が以前よりぐんと増えたことが一つの成果と言えるのではないでしょうか。
見える化エンジンを導入し、アクセス数は当初100件/月を目標にしていましたが、現在では200件を超える月も出てきています。改善・対応を実行する部門にデータを活用してもらわなければ意味がないので、WEBポータル内に見える化エンジンそのものの説明や、従来ツールとの違い、双方をどう連携して活用するとよいのかなどの説明も設けています。

多様な視点で分析を拡充し、
ものづくりへの貢献に繋がるVOC活用を続けていきたい。

−   今後、VOC活用をどのように展開させていきたいと考えていますか?

お客様の声を商品やサービスのクオリティ向上にシフトさせることは、今期の私たちのチーム方針にも組み込まれている大きな課題のひとつです。
この方針にしっかり沿って、生産部門にとって価値のある情報を届けていくことが非常に重要だと考えています。
そのためには、多様な視点で分析し、活用の幅を広げることが必要です。
例えば、繁忙期に絞ったアウトプット、主要キャラクターに絞ったアウトプットなど、分析の切り口は様々に考えられます。どのような情報であれば、関連部門に有益であり、よりよいものづくりへの貢献に繋がるのか。その点を見極めて分析を続けていこうと思います。
また、現在は声の全体像として多いものから把握することがメインになっていますが、小さくても大切な声というものをいかに拾っていくか。その点に注力する必要性も感じています。
どのような分析をして、どのようなフィードバックをしていくとよいのか、ぜひ担当の方とも相談しながら考えていきたいです。

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